†ぬらりひょんの孫花園†
□執着心
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「なァ……鴆、も………ぅ」
「まだだ………」
「ん………あ……っ、もう……ムリだ………!」
限界。
いくらそう訴えても、己を攻め立て、達しそうになるたびにそれを阻止するこの男は、どこまでもリクオを焦らし続ける。
「あ……あぁ………っ、ぜ……ん……!」
過ぎた快感は苦痛になる。
それを分かっていながら、なおもリクオを苛み続ける妖鳥―――鴆は、不機嫌そうにリクオを視姦する。
「うぁ……つ……っ、鴆……!」
「……おめぇが隠そうとするのがいけねぇ」
「んなこと言……っ、ぁん………っ!」
反論しようとしたリクオ自身を、それを許さないというように強く扱き上げる。
そう、鴆は今―――軽く怒っていた。
リクオはふらりと鴆の所へやってきては、酒を飲み、そのまま帰ることも―――情事にふけこむことも、しばしば。
今日もリクオはふらりとやってきた。
鴆もいつものように酒を用意しようとして―――気付いた。
彼の―――リクオの脚に、いくつか傷ができていることに。
『おめぇ、それどうしたんでぇ』
『何の話だ?』
『何の話だ、じゃねぇ。その脚の怪我、どうしたんでぇ』
『………』
かすかにリクオは舌打ちをした。
どうやら隠すつもりだったらしい。
それに機嫌を損ねた鴆は、怪我を手当てしたついでに、そのまま流れでリクオを押し倒したのだった。
「……どこぞの誰にやられたわけじゃぁねぇみてぇだから、いいけどよ」
それでも、自分にだけは隠させるつもりなど、なかった。
ただでさえ、リクオの傷は全て自分が見てきたのだ。
例え、どんな細かい傷だとして、こちらに気を使わせるのがいやだったとしても。
「………俺には、おめぇの全て、晒しやがれ」
「んぁ………っ!」
傷だけなんかじゃない。
散々焦らされて。
どこもかしこも性感帯とされたその身体。
理性を飛ばして自分の愛撫で乱れ、啼くその姿も。
蕩けきった思考で、ただ快楽だけを貪るその様も。
「隠すなんて、ゆるさねぇ………」
「あぁ……っ、ぜ……ん、鴆……っ!頼むから……いい加減………に……!」
「………もう、隠そうなんてしねぇな?」
「しねぇ……から……っ、あ、あ、はぁ……っ、―――――――っ!」
やっと解放された欲望に、目の前が白く爆ぜた。
「………ッハァ、はぁ、は……っ、はぁっ」
「……リクオ」
「鴆………んっ!おめぇ、また……!」
リクオの中で再び形を変えた鴆のそれに、リクオは非難の声を上げた。
「……もう少し、つきあってもらうぜ」
「あぁあ……っ」
(この……後で殴ってやる……!)
弱いところをダイレクトに突き上げられ、文句は嬌声へと変えられた。
儚き命が故か、どうやら義兄弟は相当執着心が強いらしい。