†DRRR!!花園†
□〜DOLLARS〜日本軍関東地区副都心支部池袋基地 紅の貴花″編
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「………ムリ?」
「さすがに、な。俺のこと、やっぱ少しは知ってんじゃねぇの。警戒して女性陣、誰も出してきやしねぇ」
さすがの俺でも、お手上げだ。
「ふぅん………」
臨也は足を組み、真剣に考え始めた。
「しょうがないね、じゃあ、俺が行くか」
「……アンタに出来んの?」
「これでも上官である以上はね。この間の時も、暗号手に入れたのは俺だよ?」
「そうだけど、直接対決とか、苦手そうに見えるんだけど」
「得意、てわけでもないけどね。まぁでも、自信はあるよ」
「……………」
(さすが、伊達に上官じゃねぇか)
くるり、と背を向けた千景を、臨也は呼び止めた。
「ああ、千景くん」
「んだよ………」
「そんな嫌そうな顔するなよ、紀田くんと帝人くんを呼んで欲しいだけだからさ」
「えッ、臨也さんが?」
「うん、さすがに千景くんにはお手上げされちゃったしね」
呼ばれて一声、唐突に自ら敵の本拠地に乗り込むといった上官に、反射的に正臣は驚きの声を上げていた。
「でも、あそこ……紅の貴花″に乗り込むなんて、危険すぎます!」
少々遅れて、帝人も声を上げる。
―――――紅の貴花″。
名前の由来は不明だが、とにかく華々しい集団だ。
歌舞伎町を根城とする組織で、何やら不穏な動きを見せているとの報告があった。
十六夜の狼″と同様、DOLLARSが邪魔だと。
彼らの目的も不明瞭だが、少なくとも、DOLLARSを潰そうと企てていることは、帝人の仕入れた情報から、間違いない。
「もちろん、変装していくに決まってるだろ?だから、君たちにちょっとお使いに行って来て欲しいんだよ。金は軍から出すから」
「「はぁ……」」
「買ってきてくれないかな、これ」
臨也は、必要な物のリストを取り出した。
「女物の着物と、その他の小道具類一式……ね」
「「・・・・・・・・・・・・・・」」
「女物の着物って……女装するつもりなのか?臨也さん」
「そう……なんじゃない?」
私服に着替えて、2人は臨也に言われるまま、街へ買い物に出ていた。
「んー、どんなのがいいだろうねぇ」
「何が悲しいってよ……」
正臣は大きくため息をついて言った。
「何で着物を選んでやる相手が杏里じゃないのか、ってことだ」
「……うん、まぁ……確かに、ねぇ……」
買っていく相手は、臨也。
「どんなのが似合うかなぁ」
「派手なのがいいだろうな」
「あ、正臣、あれは?」
「ん?ああ……あの濃青色のか?」
「うん、あの毬とか鈴とかの、あれなら綺麗かなって」
「オレは、あれでもいいかと思ったんだけど」
「あの夕焼け色の?」
「そう、下の方が黒いやつ」
「………」
「………」
2人は顔を見合わせて、数秒間沈黙した。
「……両方買うか、軍から下りるみたいだし」
「大丈夫かなぁ……」
「まぁどっちにせよ、何着かあった方がいいだろ」
「あ……そう、だよね」
結局5着ほど買って、2人は1度店を出た。
「小物類が問題だよなぁ……」
「もう、お店の人に選んでもらっちゃうとか」
「……その手があった」
帝人の案を採用して、小物店で店員に頼み、いくつか選んできてもらった。