†DRRR!!花園†

□〜DOLLARS〜日本軍関東地区副都心支部池袋基地 十六夜″編
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「えぇ〜、知らないのぉ?」

「結構有名だよねぇ、十六夜の狼″」




゛十六夜の狼″。



まるで、満月の光を浴びて狂喜の雄叫びを上げる狼男のように、深夜、暴れる狂気の集団。


最近目立ち始めた集団だ。


治安部隊では抑えられず、日に日にその力は強大になり、そして非道な行為は度を増していく。


(……噂で聞いてたけど、結構メンドーな相手っぽいなぁ、こりゃ)


゛十六夜の狼″の幹部共の女たちに話を聞きながら、軍一の女たらし、けどそこが使える、諜報部所属―――六条千景は、内心でため息をついた。


深夜、渋谷の街中の女たちに「あぶねぇよ、こんな時間に」と声をかけて。



『大丈夫よ、私たちに何かあったら、゛狼″が黙っていないもの』

『狼?』

『そうっ、狼!私たち、実は゛十六夜の狼″の幹部の彼女なんだ☆』

『十六夜の……?』

『えぇ〜、知らないのぉ?』



……そこから先は、簡単だった。



「有名なんだ、俺、最近副都心(こっち)のほうに来たから知らねーなぁ」


特に、嘘はついていない。
もともと自分は、埼玉支部にいたのだから。


「そーなの?じゃあ、忠告しといてあげる」

「忠告?何で?」

「うちら゛十六夜″は最強だから!だから、ダメよ?対抗しようとか考えちゃ」

「いつか渋谷も支配下になるもんねぇ、この勢いじゃ」

「満月の光を浴びた狼男に食われたくなかったら、ね?」


(ああ、へぇ……)


「だから、゛十六夜の狼″ってわけ?」

「そう!」

「そういえばさぁ、全然関係ないんだけど」

「どしたの?」





「池袋の゛ダラーズ″ってさぁ、すごい邪魔だよね」





(―――きたきた)


「ああ、だから潰すらしいよ?」

「え、嘘、いつ?」

「確か次の満月の日だから……来月の16だったかな?」

「えー、初めて知ったぁ」

「しょうがないよ、何てったって、瑞希は総長の彼女だもん」

「ホント美しいよね〜、超イケメンだもん、楸(ひさぎ)様!」

「まぁ、うちの和も負けてないけどっ」

「何ようっ、一斗だってカッコいいもんっ!」

「あはは、和沙(なぎさ)も一美も彼氏バカだねぇ」

「「瑞希に言われたくないっ!」」


(いいのかぁ?重要っぽいことしゃべっちゃってさぁ)


茶髪ロン毛二重:瑞希。

黒髪短髪一重:和沙。

茶髪セミロング二重:一美。




瑞希の彼氏が、どうやら総長―――゛楸″らしい。




「あのさぁ」

「ん?」

「何?」

「あ、ごめんね、何?」


それぞれの自分の男のノロケ話に夢中になっている女たちに苦笑しつつ、千景は話に割り込んだ。


「さっきの…゛ダラーズ″をどうとかって……」

「「「あぁ………」」」


とたんに、女たちは露骨に嫌悪の表情を見せた。
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