†REBORN!!花園†

□巡りゆく時の彼方に 序章
1ページ/1ページ


「―――さて、君はどうする?」

「……聞かずとも、もうお前には分かっているだろう」

「ああ、分かってるよ。だからこそ、敢えて訊いてみたんだ」


洒落た恰好の男は、ふ、と微笑した。


「……結局、幻″と見(まみ)えたのは、一度きりでしたわね……」

「……そうだな」



ほんのわずか、淡い水色のかかった白い着物の女がうつむく。

それとは対照的に、上から下まで全てを黒に包み、深くフードをかぶった、男とも女ともつかない者がそれに応えた。


「仕方ないよ、幻″だからね。本当は、一度も見ることはなかったんだろうし」


微笑を浮かべたままで、洒落た男は軽くため息をついた。


「……これから、ボンゴレはどうなっていくのかな」

「それももう、知っているだろう、お前」

「……いや、一つだけ、まだ僕も見てない代がある」

「どこですか?」


一拍、間があった。




「十代目」




「十代?」

「そう、十代。……ちょっと面白いことになってるみたいだ」

「面白い、というと?」

「……十代の時を越えて、再び僕らが姿を現した」

「「!!!」」

「十代目の時″、闇″、雪″、そして幻″……まぁ、幻″である彼女に関しては、彼女のまんまだけどね」

「………そうか」

「……さぁ、そろそろ行った方がいいんじゃないかい?君たちは」

「貴方は、どうするの?」

「……僕は、時″だ。だからこの時空のどこかに留まったままで」

「……そう。なら、ここでさようならね」

「じゃあね。ニーヴェ、それにデーキィオも」

「ああ。……行こう、ニーヴェ」


デーキィオと呼ばれた初代闇の守護者は、夜色のマントを打ち鳴らして、
白―――ニーヴェと呼ばれた、初代雪の守護者とともに、闇に溶け込んだ。


「……さて、僕も行くとしようかな」


自らを時″と称した男―――初代時の守護者、T・クローバーは、どこからともなく、トランプを取り出した。


クローバーがゆっくりと手を広げていくと、まるで糸でもついているかのように、整列して一枚一枚のトランプも広がっていく。





彼は、彼のその姿は、魔術師(マジシャン)だった。





「果たして、十代はどうなっているんだろうね?」


クローバーは、瞳に燃え上がる館を映して、どこか悲しく微笑んだまま、ポツリとつぶやいた。


「………さあ、僕ももう行かなくちゃね。………また、会おう」














唯一絶対の忠誠を誓った、僕の主。












.
 

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ