〜無双竜〜

□〜外伝 夏目先生〜
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真夜中のグラウンドで夏目先生は一人目を閉じて立っていた。そしてゆっくりと目をあける。
「ついに行ったか…。これで良かったのだろう…。竜にも、『あいつ』にも。」
眼鏡を少しずつ外し、髪を整えるために頭を揺らす。そのたびに美しい黒髪が風に揺られる。その時、誰かが後ろにいるのを感じた。
「で、あんたは誰かな?」
夏目先生は眼鏡をポケットにかけて後ろに振り返る。そこには首元まで青い髪が伸び、丸眼鏡がよく似合う十代の男が立っていた。
「俺がここにいるのに気付いたのはいつだ?」
「ついさっきだ。キレーに隠れてたんだな。かくれんぼでもしてたのかい?あと、人の質問はちゃんと答えるのが律儀ってもんでしょ?」
青髪の男はため息をつく。そして青髪の男ほどの大きい大剣を暗闇から取り出す。夏目先生はほんの一瞬殺気がなびくのを感じた。
「一つ聞く。『あの人』はどこにいる。あんたとは仲良しだったろ?この質問に答えられたら名を名乗ろう。」
「あの人ぉ〜?知らないね。あの人だったら誰を言ってるのか分からないでしょ。名前を言いなさい名前を。」
 いいや、知ってる。『あの人』くらい。あたしを孤独から救ってくれた人。あたしに生を教えてくれた人。あたしに……初恋を教えてくれた人。
青髪の男は残念そうに首を振る。
「あんたに聞くのが失敗だった。やはり、任務は楽せずにやれってことか…。」
任務…。誰か上の人でもいるのだろうか。
「で?任務ってなにかしら?あたしにも教えてほしいな〜。」
夏目先生は白々しい笑みを浮かべる。男は夏目先生に大剣を向ける。刃先が夏目先生の顔ぎりぎりにある。。
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