晴れ時々飴
□その前に
1ページ/5ページ
ついに三星戦。
お、俺 ちゃんと投げれるかな…。
…廉、大丈夫かな
「5球!!!」
「あ、」
阿部の声で我に返り、ミット目掛けて球を投げる。
けど、ズレる。
全然うまく投げられないんだ。
俺の隣にいる廉はずっとキョロキョロして…たと思ったらいきなりビクゥッ!と跳ね上がるように体を震わせた。
「おー…ぃ」
向こうの方から…多分、叶の声…。
き、来た。
俺も同じように体を震わせる。
大丈夫だ…うん。
「三橋!!どこ行くんだよ!!」
「なっ…」
阿部が叫ぶ方を見れば廉が走っていく後ろ姿。
やばい、今廉を一人にしちゃ!!
焦った俺は目で必死に廉を追いながら走り出そうとするが、俺の腕は阿部にがっしりと掴まれていた。
「放せ!!廉が、廉が…!!」
「試合前だぞ!?お前は三橋にかまわず投げろ!!」
試合前?
んな事は知ってんよ…!
「お前には分かんねぇよ!!」
「あ!おい桐島!!」
誰にも分かるわけないんだ。
ここで行かなかったら廉がどうなっちゃうかなんて…分かるわけない…!!!
廉の元へと急ぐ。
無我夢中で。
あ、あの後ろ姿は…