晴れ時々飴

□もう一人の
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「やっちまった」


やっぱり俺は方向音痴なんだろーか。
いや、入学したばっかだからしゃーないよな、うん。

職員室って何処?


「あの…どうかしましたか?」

不思議そうに声をかけてきた女。
そんなに顔にでてたか…。


「ああ、うん。職員室って何処か分かる?」
「えーっと、職員室はあそこからまっすぐ行って右に曲がってまた真っ直ぐ行った所だと思います」
「そっか、さんきゅ。」

呪文のようにしか聞こえなかったんだけど…。
右いってまっすぐ…?だったっけ。
まあいいか、とりあえず行ってみよう。


くるっと後ろを向き歩き出そうとした瞬間、さっきのやつが再び声をかけてきた。


「…桐島君、だよね?」
「そーだけど、何で知ってんの?」
「野球部のマネジやってるから分かるんだよー」
「まじか」
「うん、今朝マネジになったんだけどね」

そう言ってマネジはニコッと笑った。
なんでか悔しいけど…可愛い。

でも今朝マネジになってよく俺の名前覚えたな…。

ってそれどころじゃなかった!
課題を出さなきゃいけねーんだった!

「まあ、これから宜しく。じゃっ」


そう言って去ろうとする俺、を

「あ、ちょっと待って!」

またも引き止めたマネジ

「なん…!!」

ちょっとイラつきながら後ろを振り返ると、言い忘れてたと言わんばかりに慌ててマネジは、

「さっき花井君達が桐島君の事探してたよー!」


…何で?


「投げさせるとかなんとか…」


あっ…!やっべ、そうだった

そういや、今日は俺が投げる日だった。

昨日廉が、



で、でも…陸のほう、がもっと、すごい !



なんて事言うからみんな興味持ったらしい。
投げろ!投げろー!って元気のいい奴が叫んできて大変だった。


面倒くさかったから
「また明日な!明日!」
とか確か言ったわ…。

忘れてたー

「さんきゅ!尚更急がなきゃだ、じゃ!」
「うん!気をつけて」
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