晴れ時々飴

□ホントのエース
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その後の8回の裏は、レフトフライがまたあったけど今度はちゃんと水谷がキャッチしてアウト。

9回の表はゴロ、三振とあっけなく終わってしまい

9回の裏。

「阿部ー」
「なに」

三橋の背中を押して阿部の所まで行く。
そろそろさっきの織田の事とかちゃんとキャッチャーに伝えといた方がいいだろう。

「あのさ、もっと早く言えって言われそうなんだけど…」
「あ、のね…く…首振るの、ダメなの わかってる から」
「あ!?」

そうそう、そっから先は自分でね…。

「4番の人 オレ 打たれるって思ったんだ…!」
「はあ!?なんで!?」
「よ よく わかんないけど 一球目、目ェつぶって振ってて…なんか変だったから!!」


よく言った…!偉いぞ廉!!


「なんでその場で言わねんだ!!ノロマ!!」
「ひいいっ…!」


阿部のでかい声にびびって地面に膝をついた廉の背中を「よくやった」と優しく撫でてやる。
一緒にいたからわかるけど、中学の廉だったら絶対に言わない。
この短期間で成長したなあ…うんうん。


「よし!これで行けるぞ!びびんなよ!」
「うん!」


「おっし、二人とも頑張れよ!」
「おお!」
「うっひ…!」


よし、もう二人は大丈夫だ。あとはベンチで見守るしかない。


「9回の裏、三星学園の攻撃は 2番 センター 柊君」
「おおお!!」


最後だ。
この回を抑えればうちが勝つ!


キンッ


「ファースト!」

パンッ


柊の打った球は高く上がってキャッチ。
次の吉の球も上がったのをキャッチしてツーアウト。

次は、4番だ。

「あとアウト1つ…」


《4番 ファースト 織田君》


パンッ

「トライック!!」

お、速い。
全力投球だったのかな。

三球勝負、遊び球はない。


「……」


皆が息をのむ。
あと一球。この緊張感がたまらなく気持ちがいい。


次が最後の球だ。


「織田!!終わんな!!」


三星のベンチから叶の声。
勝ちたいけどまだ終わってほしくない…そんな複雑な気持ちになった。



でもここでストライクとれば西浦の勝ちだ…!



廉が最後に投げた球は、


パンッ


「トライーック!!」





廉はここで…


ヒイキなんかじゃない。

ホントのエースになれるんだ…!
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