晴れ時々飴
□ホントのエース
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「オイ」
「!!」
あっ…悠か…。
しまった、ここはさっさと戻っとくべきだったな…。
仕方ない。
「無死無塁だったのに一点しか入れらんなかった。4番のクセにカッチョワリーけど、ベンチに帰れないことはねーよ」
廉…何言ってんだろって顔してるな。
そうだよ、悠も俺と同じこと思ってたんだ。
「お前力全部出してんだろ」
「!」
「守ってりゃそれはわかるから一緒にベンチ帰ろうぜ!陸も!」
「…おっ、おお…!」
もしかして一緒に落ちこんでるとか思われてたのかな…。
いやあでも悠やっぱかっこいいなあ。
廉が今の言葉で立ち上がるんだもん。
「ぬぬ〜おもいぞお」
立ち上がったのはいいけどそのまま動かないから悠と二人で押してやる。ぐいっと。
「とりゃっ」
「っっ!!」
「あ!復活した!」
「なんだよもー心配したじゃんかあ!」
「せめてベンチの中で落ち込めよな!」
廉の姿をみた皆の反応は温かいものだった。
中学の時とは違う。皆の中に入っていいんだよ。
「悠!さんきゅーな」
「礼言われる事してねーよー!…っと、バナナくおー」
…たしかに、悠にとっては普通の…
いや、仲間にとってはこれが普通の事なんだ。礼なんかいらない。
「仲間っていいなあ…」
言うつもりはなかったのに声に出た。
その声は綺麗に応援の声にかきけされてしまったけど、言った後は清々しい気持ちになった。
仲間って、いいな。