賢者の石
□第6章
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「かわいそうに」
スネイプ先生と入れ替わりにドラコがやってきた。
「家に帰って来るなと言われて、クリスマスなのにホグワーツに居残る子がいるんだね」
そう言いながらハリーの様子をうかがっている。
クラッブとゴイルがクスクス笑った。
ハリーはカサゴの脊椎の粉末を計っている所だった。
ハリーは見事に3人を無視したが、残念ながら短気な私が代わりに口出しする。
『ベぇーだ!帰って来るなって言われたんじゃなくて帰ってやらないんだよ。ドラコはさっさと親離れしろよ。親も子離れしろよ。てか私も帰れないから“かわいそう”になんじゃん。同情するなら家と金をくれ。お前んち大量のヒキガエル持って泊まり込んでやろうかコノヤロー』
一気に言ってやったら馬鹿なクラッブとゴイルは口を間抜けに開けて、私の言った事を頭の中で繰り返しているようだ。
復唱しなけりゃ意味通じねぇのかよこいつら。
ドラコも何か言い返そうと口をパクパクしているが、女に口で勝とうなんて5億光年早い。
ん?光年は距離の単位か。
それをハリーは楽しそうにクスクスと笑っていた。
「次の試合には大きな口の木登り蛙がシーカーになるぞ」
ハリーを笑い者にするつもりだったドラコは私の口出しとあの箒事件でみんなハリーの事を感心していたため誰も笑わなかった。
きっとハリーが妬たましかったのだろう。
「リョウの言った通りプリベット通りに帰るつもりないんだ。きっと今までで最高のクリスマスになると思うんだ」
ドラコが悔しそうに帰って行くのを見送ったあとハリーが心底嬉しそうに私に言った。
「ロンもロンの兄さん3人も残るみたいだし、それにリョウもいるんだよね?」
『うん。私、今はここが家だもん。……楽しみだね、クリスマス』
「楽しみだね!」
『にしても暇で暇で仕方ないですなー』
バシッ!
『あいたっ!ちょっとヒドくない!?』
「ミストビカイ、少しは真面目に授業を受けたらどうかね?少なくとも今はここの生徒だ。グリフィンドール10点減点」
結構分厚い本で乙女の頭を容赦なく殴るスネイプ。
涙目で睨み上げる私。
ハリーはスネイプ先生に目を付けられないように突然真剣なフリをした。
『私グリフィンドールじゃないもん。だから点数引けないもんねー』
「残念だがミストビカイ」
それはもうきっちりと深い皺を眉間に作り私を見る。
「トビカイはグリフィンドールで生活し、授業を受けている。そんな状態で我輩が1人だけを特別扱いするとでも思うかね?」
『先生の美学なんて知りませーん』
「校長からも言われている。それにトロールの事件の時から点はグリフィンドールに入れられている」
『はっ!そう言えば』
マクゴナガル先生が私にも5点くれてたんだった!
もしかしてもしかしなくてもグリフィンドールに入ってるね。
「そういう事だミストビカイ。迷惑にならないよう努力する事だな」
スネイプ先生、否スネイプ(もう先生なんて呼んでやらない)に嫌みを言われて本日の魔法薬学の授業は終わった。
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