賢者の石

□第3章
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ネビルと先生の姿が見えなくなった頃、ドラコが大声で笑った。


「あいつの顔を見たか?あの大まぬけの」


他のスリザリン寮生達もはやし立てた。


「やめてよ、マルフォイ」

『あんた酷い奴ね』

パーバティ・パチルと共にドラコを咎める。


「へー、ロングボトムの肩を持つの?あなた達ったらチビデブの泣き虫小僧に気があるなんて知らなかったわ」


気の強そうななスリザリンの女の子、パンジー・パーキンソンが冷やかした。


『あんた、顔覚えたからね。――今度会った時が楽しみだわ』



ビクッと肩を揺らしたのを私は見逃さなかった。


こっちでこんな事をしている間にドラコとハリーがネビルの“思い出し玉”で喧嘩を始めていた。



「こっちに渡せったら!」


ハリーは強い口調で言った。

ドラコはヒラリと箒に跨がると樫の木の梢と同じ高さまで舞い上がってハリーに呼び掛けた。


「ここまで取りに来いよ、ポッター」


ハリーは箒を掴み跨がろうとする。

しかしそれをハーマイオニーが止める。


「ダメ!フーチ先生がおっしゃったでしょう、動いちゃいけないって。私達皆が迷惑するのよ」


ハリーは制止を無視し、急上昇した。


髪をなびかせ、マントをはためかすハリーは何だか嬉しそうだ。



『ハリー凄い!翔んじゃったよ!』


「さっき君も翔んだじゃないか」


そういえば私も翔んだじゃないか!!


すげーよ、私!!


ロンが呆れた顔をしていた。


何か上で言い合っている。

良く聞こえないや。



ハリーがドラコに箒で突っ込んだ。


ギリギリで避けたが、彼の顔から余裕が消えている。


上手に笑えてないもん。

私、目だけは良いんだ。



すると、ドラコは手に持っていた“思い出し玉”を放り投げた。

一騎打ちは無理だと悟ったのが見え見えだ。




ハリーは驚異の速さで箒を翔ばし“思い出し玉”を追いかけて行った。













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