Short dream

□memories
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「お前まだそんなの付けてんのか?そんなもん付けてたら彼氏出来ねぇぞ」


『ほ、ほっといてよ!バカイヌ!』


ポッターやルーピンと共に通りかかったシリウス。


バカイヌとはなんだ!と怒る、バカイヌことシリウスは直ぐに拗ねる。


だから大きな声で怒ってみても恐くないんだよ。








シリウスに“そんなもん”と言われた私の腕に付いているこれ。


私の宝物のブレスレット。




幼い頃、幼いあの人がくれたこれは年頃の女には不釣り合いなガチャガチャしたビーズで作られていて
確かに変だと言われおかしくないものだ。



でも気付いて欲しいの。


これを付けてる私を見て、あの時の子なんだな…って。



いや、あの人は私の事を忘れているのかも知れない。


だって随分昔の事だもんね。


一緒に居れたのはたったの一ヵ月間だけの間だったもんね。



私が引っ越す事になって、“またいつか一緒に遊ぼう”


そう言ってこれをくれた。


“これ見たら僕を思い出して”


私は見るたび。

いや、見なくてもあなたの無邪気な笑顔が思い浮かぶ。






今はこんなに近くにいるのにとても遠くに感じる。










『良いでしょ…大事にしてるんだから』



「…………」



敢えてしっかり見えるように腕をあげると押し黙るシリウス。

言い過ぎたと思ったのだろうか。




私は物悲しい気持ちになった。


やっぱり覚えていないんだね。



私の初恋の人はあなたなのに。




あなたはこのブレスレットすら覚えていないのね。











「シリウス!」


『ほら、ポッターが呼んでるよ。バカイヌさん』


少し離れた場所から手を振るポッターが見え、私は顎でしゃくる。


シリウスは面倒くさそうに頭を掻いた。


「あぁ!今行く!……じゃあな」



それだけ言って立ち去って行く。














あぁ…また離れて行く……











少し期待してた。




あのブレスレットをしっかり見たら思い出してくれると。












その淡い期待は崩れ去った。













こんなに、好きなのに。














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