Short dream

□こころ
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私は平凡な家庭に生まれた。

両親ともにマグルで、私が魔女であると知ったときは本当に驚いた。

私はグリフィンドールに選ばれたが、きっと何かの間違いだと今でも思っている。

だけど、選ばれたからにはそれなりの努力はしようと思っている。

勉強だって、実技だって何だって努力が大事。

勇気ある強い魔女になるために。

そして少し前に、気がついた。

スリザリン生のドラコマルフォイが私の努力の源であることに。

決して言い意味ではなかったと思う。

なぜか会うたびに蔑むようなことを言われ、笑われ、それが私のやる気を引き起こす。

いつか見返してやろう、そんなこと今度は言わせるものかと。

私の中にこんな感情が芽生えるんだ…と感じた 記憶もある。

だが、今はどうだろうか?

上を目指そうと言う気持ちに変わりはないが、少し違う気がする。

"いつか見返してやろう"が、"いつか私を認めてほしい"に。

"そんなこと今度は言わせるものか"が、"私を誉めてほしい"に。

私を見ていてほしい。

どうしてこんな考えになってしまったのかわからない。

だけどこれが今の私の正直な気持ちなのだ。

「マリー、そろそろ行くかい?」

グリフィンドールの談話室、小さな窓から空を眺めているとハリーが私の肩に触れた。

『うん。上手になるかな?私の運動音痴はちょっとやそっとじゃ治らないレベルなんだけど……』

「そうかな?マリーは器用だからコツさえつかめば上手く飛べるようになると思うよ」

私は空を飛ぶ、というかマグルの学校に通っていた頃からスポーツは苦手だった。

だけど努力を重ねればそれなりに飛べるようになるかもしれないという淡い期待を込めて、入学当初から仲良しで我チームのシーカー、ハリーポッターに教えてほしいとお願いしたのだ。

二つ返事でハリーは引き受けてくれた。

昼休み、ハリーとともに1階の箒置き場へ寄り箒を持ってクィディッチ競技場へと向かう途中マルフォイと遭遇した。

「おいポッター!お偉いポッターは箒を持ってどこに行くんだ?マグルの家に帰る準備かい?」

マルフォイは私たちの前に立ちはだかった。

腕を組んで口を歪めて見下すような視線を送ってくる。

私の不安を感じ取ってかマルフォイの姿が見えた時からハリーが私の手をそっと取った。

「どけよマルフォイ。僕が何をしようと勝手だろ」

「あぁ、確かに関係ないね。だけどお前の悠々自適な行動で怪我人が出るんじゃないかと思っただけさ」

二人の気迫に少したじろぎ不安になった私はハリーに手を握られたまま畏縮してしまう。

「確か…恐ろしいくらいに箒に乗るのが下手なんじゃなかったかい?」

『そ、それは……』

私はスリザリンとの合同授業の際に箒から何度も落ちかけている。

………いや、すでに何度か落ちている。

その時のことを思い出し恥ずかしくて顔が熱を帯びる。

思わず俯く私にハリーの握る手に少し力が入る。

「マリー、気にすることないよ。ほら、行こう」

私の手をハリーがくいっと引っ張りマルフォイの横をすり抜けて行く。

『私……うまくなるから…』

マルフォイの横顔を見た瞬間、なぜかそう呟いていた。

私の心にはきっと、"私を誉めて。もっと見て"、そんな言葉があったのかもしれない。



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