賢者の石
□第12章
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談話室に戻ると、ロンはソファーの上で眠り込んでいた。
ハリーが乱暴に揺り動かして起こそうとした時、クディッチだの、ファウルだのと寝言を叫んだ。
しかし、ハーマイオニーと一緒に、森であったことを話すうちにロンはすっかり目を冷ますことになった。
ハリーは落ち着くことなく暖炉の前をいったり来たりしていた。
「スネイプはヴォルデモートのためにあの石がほしかったんだ……ヴォルデモートは森のなかで待っているんだ…僕たち、今までずっと、スネイプはお金のためにあの石がほしいんだと思っていた……」
「その名前を言うのはやめてくれ!」
『ロン、落ち着いて。ハリーも…って聞いてないよね』
「フィレンツェは僕を助けてくれた。
だけど、それはいけないことだったんだ…ベインがものすごく怒っていた……惑星が起こるべきことを予言しているのに、それに干渉するなって言ってた……惑星はヴォルデモートが戻ってくると予言しているんだ――ヴォルデモートが僕を殺すなら、それをフィレンツェが止めるのはいけないって、ベインはそう思ったんだ……僕が殺されることも星が予言してたんだ」
「頼むからその名前を言わないで!」
ロンがシーッという口調で頼んだ。
「それじゃ、僕はスネイプが石を盗むのをただ待っていればいいんだ」
ハリーは熱に浮かされたように話し続けた。
「そしたらヴォルデモートがやって来て僕の息の根を止める……そう、それでベインは満足するだろう」
ハーマイオニーも怖がっていたが、ハリーを慰める言葉をかけた。
「ハリー、ダンブルドアは"あの人"が唯一恐れている人だって、みんながいってるじゃない。ダンブルドア雅そばにいる限り、"あの人"はあなたに指一本触れることはできないわ。それに、ケンタウルスが正しいなんて誰が言った?私には占いみたいなものに思えるわ。マクゴナガル先生がおっしゃったでしょう。占いは魔法の中でも、とっても不正確な分野だって」
『そうね、私占いっていい結果は信じるけど嫌な結果は信じないもん。それに何よりも私たちがハリーにはついているのよ』
話し込んでいるうちに、空が白み始めていた。
それぞれベッドへ戻り、私は1人広い部屋の天井を見上げる。
『ハリー…大丈夫かな』
先の見えない恐怖に不安を抱き、眠れていないのではないか。
様子を見に行ってあげたいが、1人になる時間も必要だしそれに何かあればロンがいる。
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