賢者の石
□第6章
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突然ハリーの箒がぐるぐる回り始めたのをきっかけに観客達があちこちでハリーの方を指した。
今にもハリーを振り飛ばしてしまいそうだ。
ハリーは片手だけで箒の柄にぶら下がっている。
「フリントがぶつかった時、どうかしちゃったのかな?」
シェーマスが呟いた。
「そんなこたぁない。強力な闇の魔術以外、箒に悪さはできん」
ハグリッドの声が震えている。
私はハーマイオニーの袖を引き教員席を指す。
『あそこよ。あそこから呪いをかけてるんだ』
「まぁ、やっぱり」
アルバスの双眼鏡で教員席を見つめる。
「僕達どうすりゃいいんだ?」
「私に任せて」
ロンの次の言葉を待たずしてハーマイオニーは教員席へ向かって行く。
私もハーマイオニーのあとを追う。
観衆を掻き分け、ハーマイオニーが向かって行った先はスネイプだった。
『ハーマイオニー!違う!』
私の叫びも虚しく観客達の声にかき消される。
『シレンシオ!』
懐から杖を取り出しクィレルに呪い軽減の魔法を使用する。
クィレルが若干怯んだ時ハーマイオニーがぶつかりクィレルは前につんのめった。
それにより呪いは中断されるが、犯人をスネイプだと思い込んでいるハーマイオニーはクィレルを無視してスネイプのマントに火を付けた。
スネイプのマントが燃え上がり鋭い悲鳴があがる。
『アグアメンティ』
魔法により水を放つ。
周りの人を濡らさないよう加減をしつつ、火を消し去る。
この騒ぎの中でハリーは再び箒に跨がれるようになっていた。
ハーマイオニーがずっと遠くへ離れたのを確認しスネイプ先生に声を掛ける。
『災難でしたねスネイプせんせ』
「トビカイ…貴様の仕業か」
眉間の皺が増える。
『違いますよ。私はスネイプ先生が犯人でない事を知っている。それに私なら殴り飛ばしてますよ。…ね?』
「……………ι」
『私の行動が遅かったは認めるけど。………にしても、ムカつく野郎ですね、あいつ』
横目でダーバン野郎、もといクィレルを睨み付ける。
「…危険な真似はするなトビカイ」
『さあ?……心には留めて置きます。では、友人に心配掛けないよう帰る事にします。では』
ぷらぷらと手を振り元いた席に戻った。
「あ、リョウ!どこ行ってたんだ?ハリー持ち直したよ」
『うん。ちょっとね。…ハリー!』
ハリーは急降下をした。
突然ハリーは口を手で覆い、何か吐き出しそうな感じだった。
『取ったんだ……』
四つん這いで着地したハリーは大きく咳込むとキラリと光る金色の玉、スニッチを吐き出した。
「スニッチを取ったぞ!!」
頭上高くスニッチを振りかざし、ハリーが叫んだ。
大混乱の中、試合は終了した。
「あいつは取ったんじゃない。飲み込んだんだ!」
フリントはずっとわめいていたが結果は変わらない。
「グリフィンドール、170対60で勝ちました!」
リー・ジョーダンの興奮した声が響きわたった。
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