賢者の石

□第5章
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11月に入ると、とても寒くなった。


クィディッチ競技場ではハグリットが箒の霜取りをしていた。

クィディッチ・シーズンの到来だ。


土曜日は、いよいよハリーの初試合になる。

私はトロールの事件の後、ウッドにクィディッチの練習に参加しないと素っ気なく対応した事を謝り時々ハリーの練習に顔を出すようにした。


顔を出すようにはしていたが選手として参加する事はマクゴナガル先生にも言って辞退させて貰った。



私はグリフィンドール生ではない。

グリフィンドールカラーを背負う資格もないしグリフィンドールだけに加勢するわけにも行かない。





ハリーの初試合の相手はスリザリンだ。


グリフィンドールが勝てば、寮対抗総合の2位に浮上する。


ハリーの事は秘密兵器として極秘という作戦で練習しているところを見た人はいなかったが、なぜかその極秘はとっくに漏れていた。













ハリーのデビュー戦の前日。


休み時間、日本人の私にとって凍え死にしそうなくらい寒い中庭に私達は来ていた。


私とハーマイオニーはジャムの空き瓶に魔法で鮮やかなブルーの火を入れて、4人寄り添うように暖まって
いた。


私が垂れて来る鼻水を啜っているとスネイプがやって来た。


片脚を引きずっている。


…………あぁもうこんなところまで話は進んでいたのか。


スネイプがこちらへ近付いて来た。


「ポッター、そこに持っているのは何かね?」


ハリーはクィディッチ今昔という本を差し出した。



「図書館の本は校外に持ち出してはならん。寄越しなさい。グリフィンドール5点減点」








「規則をでっち上げたんだ」

とハリーは怒ってブツブツ言った。

「だけど、あの脚はどうしたんだろう?」


「知るもんか、でもものすごく痛いといいよな」

ロンは悔しがった。


スネイプもいい人なんだけどな…

私は苦笑した。



あとで見舞いにでも行ってあげよう。

今さらながら今後のためスネイプに近付いておくのも悪くない。


とか言って見るが単なる好奇心でスネイプに近付きたいというのが本音だ。


私は先を見越して行動出来るくらい頭は良くない。


はーぁ

もっと頭が良い子に生まれるんだった。


もっと魔法も勉強しないとな。








その夜、ロンはハーマイオニーに呪文の宿題をチェックをして貰っていた。


私は本を読んでいる。

中身は闇の魔術に勝つための呪文集だ。

表紙は適当に変えてある。



私はそれを読みながらずっと私の側で落ち着きなく動き回るハリーを見ていた。


今日はクィディッチの前夜だ。

緊張しているのだろう。


「僕、本を返して貰ってくる」

二人に一人で大丈夫かと聞かれていたが平気だと言ってハリーは一人職員室に向かった。



ロンとハーマイオニーが再び宿題に集中し始めたのを確認し、私はハリーの後を追った。












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