Short dream

□夢か現か
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夢か現か










風邪を引いた私は、今日はゆっくりベッドで寝ている事にする。


というかそうするしかない。


だって、熱でフラフラだ………



ちくしょう、急に涼しくなったりするからだ。


しかも今日はスリザリンとの合同授業の日じゃないか。


私の好きな時間だ。




だって、スリザリンには私の大好きなあの人がいる。


『むぅ……授業に出たい…//』

私は布団に顔を埋める。


敵対するグリフィンドールとスリザリンがまともに顔合わせするのは合同授業の時くらいだ。


私は片思いの相手、ドラコ・マルフォイと一緒にいられる合同授業が楽しみなのだ。





私が積極的に話し掛けても無視したり、嫌味を言ったり。

どう考えても私に脈はなさそうだ。





どんなに彼が私に興味がなくても、一生振り向いてくれる事がなくても良い。

私は遠くから見ているだけで良いんだ。



『…………』


朝からずっと寝ていたおかげで、こうして寝転んでいても眠れやしない。


熱が上がって来た気がする。

身体が熱い。
汗が噴出す。




マダムポンフリーがそんな私の様子を見て新しく氷を入れ替えた氷嚢を
用意してくれる。


息を荒げながらも眠る事は出来なくて考える。


グリフィンドール生とスリザリン生がくっつく事があるのかと。



見ているだけで良いって言ったけど、私だって人間だ。

欲がある。


微かな可能性に期待を寄せる。

Ifを考える。



一人医務室でいる事がとてもつまらない。



会いたい。


あなたに。


嫌味で良い。


何か言って欲しい。




どうか私を視界の中に置いておいて。














眠れないと言いつつも、熱が上がった身体は怠さに瞼を自然に落とす。


『フ……はぁ…』


グルグルと視界が回る。



だめだ……


身体が言う事を聞かなくなってきた。






その時、


フッと頬が冷たくなった。


誰かが手を添えているようだ。




『はぁはぁ…気持ち良い』


「バカは風邪を引かないというが、嘘のようだなミスフィリップ」



聞き覚えのある声に驚く。


融通の利かない身体にむち打って目を開ける。



視界入ったのは私の大好きなドラコ・マルフォイだった。




『ハハ……あたし、も、重症だ…』


夢まで見るなんて。


自分の気付かない間に寝ちゃって、ドラコの夢見ちゃってんだ。


「何を言っているんだ?そんなに酷いのか」


『うーん…ど、だろ?』


ドラコは逆の手でまた頬に触れてくれる。



夢だからしてもらえる。

たとえ夢でも嬉しい。




『……冷たい』


「今日は冷えたから、と言いたいがフィリップの熱の所為のほうが大きい。……早く治せ」


『うん……ありがとう』


小さく呟かれた"早く治せ"がすごく嬉しかった。


ああ、現実になれば良いのに。



こうしてそばにいてくれれば良いのに。



「ほら、もう寝ろ」


『……もう少し、一緒にいて?』

夢だからと甘える。

現実なら恥ずかしくて言えない。


「ああ。眠るまでいてやる。だから早く寝ろ」


片方の手で頭を撫でてくれる。


『うん……おやすみなさい』



「おやすみ、…マリー」














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