賢者の石
□第4章
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「さあ、どうしてくれるの?」
ハーマイオニーはけたたましい声で問詰めた。
「知った事か。僕達はもう行かなきゃ。遅れちゃうよ」
ロンとハリーに続き歩く。
私はハーマイオニーもちょっとはスリルを求めるべきだと思う。
ガリ勉では疲れるよ。
ハーマイオニーが追い付いた。
「一緒に行くわ」
「ダメ。来るな『そうこなくっちゃ!』オイ!」
『良いじゃん!別に』
私はハーマイオニーの腕に絡み付く。
ハーマイオニーは顔を赤くした。
「しっ、静かに。何か聞こえるぞ」
ハリーが短く言った。
『ミセス・ノリス?』
目を凝らしたが猫の姿は見えない。
その代わりネビルが床に丸まってグッスリと眠っていた。
私達が忍び寄るとビクッと起きた。
「あぁ良かった!見つけてくれて。もう何時間もここにいるんだよ。…合言葉忘れちゃって」
「《豚の鼻(ピッグスナウト)》だ」
『今は役にたたないけどね。腕の方はどう?』
私が尋ねると顔を赤くして小さく…うん。と言った。
「マダム・ポンフリーが治してくれた。……その、あの時はありがとう//君のおかげで大怪我にならなかったよ」
『気にしないで。私ももう少し頑張れたら無傷で済んだのに……ごめんね?』
ネビルは目を見開いて首を横にブンブン振った。
すごく良い子だ。
結局みんなでトロフィー室に行くことになった。
足を忍ばせながらやっとの事で目的地に到着する。
盾や賞杯が沢山並べてある。
ドラコ達は来ていない。
「遅いな、多分怖気ずいたんだよ」
ロンの言う通り来ないだろうね。
理由は違うだろうけど。
大方ハリーへの嫌がらせね。
どうせするならもうちょっと楽しい嫌がらせにしないと!
その時、隣りの部屋で物音がして、5人は飛び上がった。
ハリーが杖を振り上げようとした時、誰かの声が聞こえた。
ドラコではない。
「良い子だ。しっかり嗅ぐんだぞ。隅の方に潜んでいるかも知れないからな」
『……フィルチ?』
「とその猫、ミセス・ノリスだ」
ハリーの手招きに従い逆の扉から抜けた。
私が出たと同時にフィルチがトロフィー室に入った。
フィルチが近付いて来る。
ネビルが恐怖に悲鳴をあげロンの腰に抱き付く。
その拍子に2人して鎧に突っ込んだ。
鎧は凄まじい音を響かせ城中を振動させた。
「逃げろ!!」
ハリーが声を上げ一斉に疾走した。
「ハァハァハァ……」
闇雲にはしり適当に逃げ込んだのは“妖精の呪文”の部屋の近くだった。
トロフィー室からはだいぶ離れている。
「フィルチを巻いたと思うよ」
ハリーは壁に寄り掛かり汗を拭った。
ネビルも咳き込んでいる。
「だから、……そう……言ったじゃな……え?」
ハーマイオニーの動きがピタリと止まる。
「ど、どうしたの?」
ネビルが喘ぎ喘ぎ言った。
「「リョウがいない/わ」」
4人の顔が青ざめて行く。
「まさか捕まったんじゃ……」
「嘘だろ?あのスポーツ万能そうなリョウだよ?」
「でも昼にこけてたよね?」
「………」
それぞれお互いの顔を確認しあう。
「……探さなきゃ!」
そう言って十数歩歩いたとき、教室からピーブズが現れた。
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