賢者の石

□第3章
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まだほとんどの生徒が箒を上手に掴めていなかったけど、マダム・フーチは箒から滑り落ちない跨がり方を教えた。



その際にドラコが間違った握り方を指摘されているのを見てハリーとロンはニヤニヤ笑っていた。



――ドンマイっ!



小さくドラコに向かってガッツポーズを送ると、思いっ切り睨まれた。



と、なんだかんだしている内に先生が指示を出していたようでみんなは箒に跨がり構えていた。

私も慌てて箒に跨がった時視界の端でドラコが鼻で笑った気がした。



覚えてろよ!


「――笛を吹いたらですよ、一、二の……」

ピー、と翔ぶ笛の合図をだそうとする一歩手前でネビル(ハリーに教えて貰った)が1人浮上してしまった。



『あれまーもうビビっちゃってるよ』


「そんな呑気な事言ってる場合じゃないよ!」




そうしてる内にもネビルは上昇して行く。


「こら、戻ってきなさい!」


先生の大声は耳に響く。

なのにネビルは降りてこない。

ていうか降りて来れないんだよ、あれは。



4m――6m―



おっと、これはまずいね。



私は地面を強く蹴り上げると急上昇した。


ネビルは箒を離してしまい真っ逆さまに落ちた。


『危ない!!』


まだ高さのある所でネビルのローブを掴み止める。



ネビルは真っ青な顔をして呆然としている。



『お、重いよ、……ちょっネビ、』


ネビルは急に我に返り、高さに再び恐ろしくなったのか暴れ出した。



『じっと、してよ……あぁあっ!!』



重さに耐えられなくなってネビルを手放してしまった。



でも、少し降下しといたからそんなに高さないし、大きな怪我はしないだろう。



ドサッと地面にうつぶせに墜落した。

箒だけは禁じられた森の方へ漂ってやがて見えなくなってしまった。




先生がネビルに駆け寄る。


私もフワリと着地し、ネビルの元に駆け寄る。


「捻挫しているわ」


『あの高さから落ちて捻挫で済んだのなら良かった。不幸中の幸いね』



先生は生徒に向き直り、ネビルを医務室に連れて行く間動くなと釘をさした。


「さもないと、クィディッチの“ク”を言う前にホグワーツから出て行って貰いますよ。トビカイ、助かりました」


先生はニコリと微笑み、涙でぐしゃぐしゃのネビルを連れて行った。










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