Short dream

□想いは君に
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今日は授業は休み。

いつもより遅い時間に起きてきた私はぐーっと伸びをしながら談話室に降りる。

各々が好きなことをしている中、いつものようにジェームズがリリーと一方的にイチャイチャしている。

すでに慣れきってしまった私は二人を一瞥すると暖炉前のソファに体を沈めた。

「マリーおはよう」

『おはようリリー』

そんなリリーももう慣れたのか、それとも気に止めないことにしたのか、何事もないように綺麗な笑顔を向けてきた。

「やあ、マリー。見てくれよ!リリーは今日も可愛いだろう!?」

『おはようジェームズ。朝から相変わらず鬱陶しい』

ジェームズは「ははっ、鬱陶しいだって。照れちゃうなぁ!」と意味不明なことを言う。

「ホントだよねー。いつも見ているこっちの身にもなってほしいよ。おはようマリー」

『あらリーマス。おはよう。どこいってたの?』

「図書館に本を返しにいってたんだよ」

『そう、リーマスは本が好きだものね』

爽やかな笑顔で登場したリーマスは静かに私のとなりに座った。

今日は1日何して過ごそうかと考えていると、男子寮からシリウスが降りて来た。

「おーす」

『おはよー』

生気のない挨拶に私も思わず語尾か延びる。

「それ、なに?」

リーマスがシリウスの右手を指差す。

「んあ?…あぁ、朝からどっかの梟が持ってきた手紙」

「またアレか。尽きないね。君、万年発情期だからじゃない?」

「誰がだっ!」

ヘラっとリーマスは突然すごいことを言ったりする。

シリウスは私たちの座る肘掛けに腰を預けて、きっちりと封のされたかわいらしい封筒を開ける。

中から封筒とお揃いや柄の便箋には、時間と場所が書かれており、会ってほしいとのことだった。

「またかよ」

『ラブレター、多いわよね。あんたって』

つい棘の刺さった言い方をしてしまう。

「は?なに怒ってんだよ」

『怒ってなんかないわよ』

「怒ってんじゃん。幼馴染みなめんなよ」

『意味わかんない…怒ってないってば』

こんな討論意味ないし、何だかいたたまれなくなって私は談話室を飛び足した。

『寒っ…』

真冬のホグワーツは一面銀世界だった。

なのに私はローブ一枚で出てきてしまった。

行く宛もなくブラブラさ迷い歩いたらいつの間にか庭の方に来ていた。

私は近くにあったベンチに座り、冷えた体を手で擦りながら暖めた。

『はぁ……私最低だよね』

自分への嫌悪感の現れか腕に爪が立つ。

シリウスは私の幼馴染みで、バカで無愛想で鈍くて、ヘタレで…かっこよくて…私の大好きな人…。

あの顔だからシリウスはモテるわけで、ラブレターを貰うのなんてお馴染みの光景といったところ。

そんなの知ってる。

知ってるわよ。

私が好きになるくらいなんだから!?モテて当たり前なのよ!

『なに考えてんのよ私は……』

「おーい!マリー、こんな所にいたのかよ。探したぜ」

『シリウス…』

マフラーを撒いてポケットに手を突っ込んで、ホントに探してたのかよ、と思ってしまうようなゆっくりした足取りで私のところへ来た。

『何しに来たのよ』

「何しにって…やっぱり何か怒ってたからだな…みんなにも散々なこと言われたしよ
…」

あの3人のことだ。

バカだとかアホだとか色々言ったんだろう。

私がシリウスを好いていることはあの3人にはとっくにバレている。

『さっさと手紙の相手の所に行きなさいよ』

「指定された時間まだだし」

シリウスはローブのポケットに入れてあった手紙を出して時間を確認する。

「お前、そんな格好で凍え死ぬぞ?」

再びポケットにしまいこんだ後、私を見て言った。

『そこは風邪引くぞ、でしょ』

確かにこのままでは凍え死んでしまうかもしれない。

「しゃーねぇから貸してやる。馴染みのよしみだ。今度バタービール奢れよ」

そう言って自分の首からグリフィンドールカラーのマフラーを外して私の首へ巻き付けた。

『い、いらない!』

外そうとしたがシリウスの手に止められ外せなかった。

「ちょい早いけどそろそろ手紙の相手の所行ってくるわ。いいか?早く中に入れよ?あと、バタービール忘れんなよ!」

『ちょっと…!!』

維持の悪い笑顔を浮かべながら城の中へと走っていくシリウスを私は呆然と見送ってしまった。
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