彼は言った「お前の笑った顔が好きだ」わたしは言う「義仁の手が好きよ」彼ははにかみながら微笑んで「ありがとう」低く小さく、そして甘く呟いた。わたしも彼がそうしたように微笑み返す。すると彼は優しくわたしを引き寄せ、今夜何度目かわからないキスをひとつ、わたしの唇へ落とした。キスはする、セックスもする。だけど手を繋いで街を歩く様な甘い関係ではない。かといってセフレなのかと言われたら違う。好きじゃないと言ったら嘘になる。だけど、この気持ちは恋とか愛とか、そんな簡単な言葉で表せるものじゃなくて、義仁とはこう、もっと、深い深い所で繋がっているんだ。そう感じているのはわたしだけかもしれないけれど。義仁はわからないことが多すぎる。いや、わたし達の間にはわからないことだらけなんだ。キスをする真意もセックスをする真意もわからない。
分かっているのは、彼の唇はとても柔らかく、彼の体温はわたしを心地よく包んでくれると云うこと。
彼と同じように、わたしも義仁の笑った顔がとても好きだと云うこと。
彼もわたしと同じようにこの繋がりを感じていてくれたらいいと思うと云うこと。





つまりは、愛








[TOPへ]
[カスタマイズ]

©フォレストページ