短編
□初対面
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「こ、こんにちは」
「…」
いつものように花の部屋へと遊びに行った私は障子を開けた瞬間固まった。
正座をして私に挨拶する簡単に組み立てられたロボットに見えるそれと三秒ほど見つめあった後、私は静かに障子を閉めた。
部屋、間違えたかな…。
辺りを見回し、いつもの風景と変わりない事を確認してから再び障子に手を掛ける。
大きく息を吸い込んでから障子を開けると変なポーズのまま首だけこちらに向けているロボット、のようなもの。
「あなた、誰?」
「ぼ、僕は瓠丸っていいます」
「瓠丸…」
ちょこんと目の前に座った瓠丸(?)を上から下まで見つめてみる。
身体の色は真っ白く片目が丸くもう片方の目はメーターみたいになっている。
この子が花の斬魄刀か…
「何で変なポーズ取ってたの?」
「…じ、実は僕、ご主人に対して不満なんて何もないのに何故か元に戻れなくって…ううっ」
泣き出してしまった瓠丸の頭を優しく撫でる。
斬魄刀は持ち主に似るらしいからこの子も純粋なんだろうな。
私はポケットからちり紙を取り出すと瓠丸にそれを手渡した。
「はい」
「あ、ありがとうございます…」
ちーんと鼻水をかむとそれを部屋の隅にあるごみ箱に向かって放り投げた瓠丸。
おお、ナイスシュート。
「私が花に言っておくから瓠丸は部屋で待ってて。ね?」
「ううっ、ありがとうございます。あの、名前教えてもらってもいいですか?」
「名無しさんだよ。瓠丸」
私はまだ泣いている瓠丸の頭を再び撫でて、二枚目のちり紙を渡した。
初対面
(じゃあ行ってくるね)
(いってらっしゃいませ、名無しさんさん)
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瓠丸可愛いですよね。