短編

□次は
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久しぶりの休日。
私はフォックスの部屋へと遊びに行くと、そこには何やら難しい顔をして本を読んでいるフォックスの姿があった。

「ねぇ、フォックスー」
「…」

よほど本に夢中になっているのか、フォックスは私の声に答えない。

「ファルコーンパーンチ!」

若干ファルコンのモノマネをしながら背中に軽くパンチすると、フォックスの耳がぴくりと動いた。

おお、これは効果あり?

「ファルコー…ン…パーン」
「名無しさん」

溜めに溜めながら、背中に拳をお見舞いしようとしたら本を見ながら窘めるような声で名前を呼ばれた。
仕方なくフォックスの背中にパンチしようとした手を大人しく膝の上に置くと小さくため息をついたフォックス。

ため息つきたいのはこっちだっての。

私はフォックスの見ている本に目を向けたが、何が書いてあるかさっぱり分からなかった。
私が馬鹿なんじゃない、フォックスが頭良すぎるんだ。
そう一人で納得した私が次に狙いを付けたのは、右へ左へと揺れるふさふさの尻尾だった。

「ねー、フォックス?」
「何?」
「私暇なんだけど」

ようやく返事してくれたフォックスの目は未だに本に向けられている。

「ごめん、もう少しだから待って」

もう少しって、それまだ半分くらい残ってるじゃないか。
いい加減しびれを切らした私がふわふわのそれを掴むと、フォックスの肩がびくっと大きく揺れた。

「名無しさん、何し…て…っ」
「フォックス、尻尾弱いんだー」

ほんのり赤いフォックスの顔を眺めながら尻尾を握る力を強めると、ぴくぴくと動く耳。

かっ…可愛い…!!!

「ねぇ、っつ、いい加減放して…っはぁ…」
「だって放したら、また私の事ほったらかしにして読書するんでしょ?」
「しない、しないから…」

震える手で本にしおりを挿み、くるりと私の方に向き直ったフォックス。

ああ、つやつやのふさふさが…

私が名残惜しそうに尻尾を手放すと、フォックスは息を整えながら私を見つめた。

次は、
俺のターンだよね?

(覚悟してね、名無しさん)
(は?ちょ、フォックス!ストップ!)

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