短編

□写真
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いよいよこの時がやって来た。
私は野球部の窓からそっと中を覗き、虎鉄先輩と猪里先輩がいるのを確認する。
カメラのピントを合わせてシャッターを押そうとしたその時。

「っ!」

後ろを向いて着替えていたはずの先輩がいきなり振り返ってこちらを見る。
私は慌ててしゃがむとしばらく息をひそめて時間が過ぎるのを待った。

「危ない危ない・・・もう少しでバレるとこだった・・・」

心の中で30秒ほど数え、もう一度ゆっくりと部室内を覗くと虎鉄先輩の姿は無く、そこにいたのは猪里先輩だけとなっていた。
出て行く音はしなかったのに・・・どこへ行ったんだろう・・・
そんな事を考えながら再びカメラを覗きこみピントを合わせる。
早くなる心臓を押さえながらシャッターを押す指の力を強めた。

「なーにやってんNo、お嬢さん」
「!!」

いきなり窓の下からひょこっと顔をだした虎鉄先輩に驚いてカメラを落としてしまう。

ああ、すみません梅星先輩…

急いでカメラを拾い、埃をはらっているとがらがらと窓が開く音がして再び先ほどと同じ声が聞こえた。

「おい、聞いてんのKa?」

見つかってしまったからには逃げるしかない!
そう思った瞬間、くいっと顎をすくわれてあの鋭い眼光で見つめられてしまう。

「何しとんねー、虎鉄」

私が蛇に睨まれた蛙の如く固まっていると、虎鉄先輩の後ろの方から猪里先輩の声がした。

やばい、これはやばい。
虎鉄先輩だけでも怖いのに猪里先輩が加わったら・・・

最悪の状況を一人で想像しながら震えていると、ユニフォームに着替えた猪里先輩が虎鉄先輩の横から顔を覗かせた。

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