短編U

□乙女の会話
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「こんにちはー、あれ?マタタビ、クロ達は?」
「結婚式に呼ばれたんだと」
「結婚式?誰の?」
「ジュリエットちゃんのだって。あーあー、いいなーアタイも行きたかったなー」

珍しく美味しそうにできたクッキーを手土産にフジ井家に遊びに行くと、クロ達はおらず、何故かマタタビとナナちゃんがお留守番をしていた。
私は縁側に腰かけるとナナちゃんの編んでいるマフラーに視線を向けた。

「ナナちゃん、それ新作?」
「うん!今年もクロちゃんとおそろいなのよ」

若干頬を赤らめながら笑顔でそう言うナナちゃんを少し羨ましく思った。
ぼーっとマフラーを見つめている私を不思議そうにナナちゃんが見上げてくる。
私は慌てて顔を上げると、カバンの中から赤いリボンの巻かれた袋を一つ取り出した。

「これ皆で食べようと思って持って来たんだけど…」
「美味しそー!」

手を止めて目をキラキラ輝かせるナナちゃん。
可愛いな、なんて思っていると先ほどまで塀を直していたはずのマタタビがすっ飛んできた。

「ん、なかなか旨いな」

マタタビはそう言いながら二つも三つも一気に取って口の中へと放り込んでいる。
のどに詰まらせないかと内心ハラハラしていたが、その心配は無用だったようで、クッキーの残りが数えられるぐらいの数になったところで、マタタビは満足そうに息を吐いた。

「そう?っていうか食べるの早いよ、皆の分無くなっちゃうでしょ」

まぁ、まだカバンの中に残ってるんだけどね。

「ね、ななしちゃん」
「ん?」
「今度このクッキーの作り方、アタイにも教えて!」
「いいよ」
「ほんと?やったー!」

家からクッキーの本持って来なきゃ。
あ、でも家で一緒に作るのも楽しいかもしれないな。

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