短編U
□願わくば永遠に
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私は手に持っていた袋から、それを取り出すと無造作に光秀へと投げ付けた。
「ななし、答えなさい。これは一体何の冗談ですか…?」
「光秀、私はこんな事を冗談でできるような人間じゃないよ」
投げ付けられたそれを手に取り、ゆっくりと手を開く。
指の間から、それはさらさらとこぼれ落ちてゆく。
「貴女が、やったのですか?」
綺麗な銀色の髪から覗く、鋭い目。
その視線に何かがゾクゾクと背中を駆け抜けていくのを感じた。
あの時と同じように。
「こうでもしなければ、光秀は、っ!!」
目の前をキラリと光るものが通った。
咄嗟に頭を後ろに引き、間一髪で避けたものの、前髪がはらりと床に落ちた。
「くっくっくっくっ…」
項垂れながら肩を震わせる光秀に、刀を構える。
「ああ…やっとその気になってくれたのね」
再び這い上ってくる快感に身を震わせて呟くと、光秀が顔を上げた。
「あーっはっはっはっは!!」
「ようやく…これでようやく…!」
狂ったように笑い始めた光秀を見ながら、私は手に入れた幸福を噛み締めていた。
願わくば永遠に
この戦いが続きますように。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
光秀様と殺し合いがしたかったヒロイン。
それ、というのは信長公の髷です。