短編U

□願わくば永遠に
1ページ/1ページ


私は手に持っていた袋から、それを取り出すと無造作に光秀へと投げ付けた。

「ななし、答えなさい。これは一体何の冗談ですか…?」
「光秀、私はこんな事を冗談でできるような人間じゃないよ」

投げ付けられたそれを手に取り、ゆっくりと手を開く。
指の間から、それはさらさらとこぼれ落ちてゆく。

「貴女が、やったのですか?」

綺麗な銀色の髪から覗く、鋭い目。
その視線に何かがゾクゾクと背中を駆け抜けていくのを感じた。
あの時と同じように。

「こうでもしなければ、光秀は、っ!!」

目の前をキラリと光るものが通った。
咄嗟に頭を後ろに引き、間一髪で避けたものの、前髪がはらりと床に落ちた。

「くっくっくっくっ…」

項垂れながら肩を震わせる光秀に、刀を構える。

「ああ…やっとその気になってくれたのね」

再び這い上ってくる快感に身を震わせて呟くと、光秀が顔を上げた。

「あーっはっはっはっは!!」
「ようやく…これでようやく…!」

狂ったように笑い始めた光秀を見ながら、私は手に入れた幸福を噛み締めていた。


願わくば永遠に
この戦いが続きますように。











 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
光秀様と殺し合いがしたかったヒロイン。
それ、というのは信長公の髷です。

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ