短編U

□目覚め
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急に目が覚めて、私はゆっくりと瞼を開いた。
…時間的にはほんの少しだが、自分が今置かれている状況が理解できなかった。
目の前で安らかな顔をして眠っているフェリシアーノ。
自分の背中へと回された腕。
部屋の中に降り注ぐ柔らかな陽射し。
ああ、そうか。あの後、寝ちゃったんだっけ…
未だに寝ぼけた頭でつい先ほどの事を思い出しながら、私はフェリシアーノの腕の中から抜けだそうと試みた。
が、結果的には無駄な足掻きだった。
どうしたものか…と考えながらフェリシアーノの方へと体を向けると、肩が上下にゆっくりと動いている事に気がついた。

「…フェリ、実は起きてるでしょ」
「…」

私がそう言うとフェリのあのくるんと曲がっている前髪が、ぴくっと動いた。
なんか可愛いな。

「ねぇ、フェリシアーノ?」
「…」

囁くように呟くと、ぴくぴくっ、と動くくるん。

「…フェリ、後ろにイギリ」
「うわあああ!何でもするから撃たないでー!」

ス、と言う前にフェリシアーノは飛び起きて泣き始めた。
相変わらず分かりやすいなー、フェリは。

「あ、あれ?」
「おはよ、フェリ」
「あ、うん、おはよー。ななしちゃん。イ、イギリスは…?」
「ごめん、あれ嘘」
「なーんだ、俺超びっくりしちゃった〜」

起き上がって髪を整える私に対して笑いかけてくるフェリシアーノ。
眠ったせいなのか、やけに頭がすっきりしている。

「それはそうとフェリ途中から起きてたでしょ」
「うん。でも何でわかったの〜?」
「内緒」

大きく伸びをする私に、フェリは不思議そうな視線を向けた。


目覚め

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