短編U

□乙女の会話
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「っていってもそんなに大層なものじゃないから、簡単に作れると思うよ」

笑いながら答えると、最後のひとつを口に入れたまま、マタタビが私を見つめた。

「その時は拙者が味見をしに行ってやろう」
「ふーん、あっそ」

ナナちゃんに視線を向けたままそっけない返事をすると、マタタビは何故かピシッと石のように固まった。

「…」
「マタタビ、そろそろ塀の修繕再開したら?」
「お、おう」

いってらっしゃーいと手を振りながら、半被の似合う後姿を見つめる。
時折ちらりとこちらを見るものの、私が無言でじっと見つめるとすぐさま修繕作業に戻ってしまう。

「…」
「…ななしちゃんてさ、」
「ん?」
「意外にわかりやすいよねー」

面白いおもちゃを見つけた時のクロのような笑み。
私はそのにやにやとしたナナちゃんの笑みから視線を逸らす。

「…何が?」
「とぼけたってムダムダ!同じ恋する乙女のアタイにはバレバレなんだから」

ナナちゃんがそう言って、マタタビに視線を向ける。
私はう、と声を漏らしながら熱くなる頬に手を当てた。

「そ、そんなにわかりやすいかな…?」
「あ、やっぱりマタタビくんの事好きなんだ〜」

やられた、と思った時には既に遅かった。
きゃあきゃあとはしゃぎ出したナナちゃんを見て、早くクロが帰ってくる事を祈った。


乙女の会話

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