□下心丸見えですよ
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「…はああ、」

深く深く。
頭をうなだれて溜め息を吐いた隣りの体育教師に同じく体育教師である伏犠は苦笑いを零した。
ぽかぽかと温かい温度の中で生徒達は汗だくになりながらチャイムが鳴るまでグラウンドを何周も走る。
それをグラウンドの隅から眺めながらストップウォッチ片手に左近は何度も眉を寄せて溜め息を吐いている。

「どうした、左近。溜め息なんぞ吐きよって」

「あ…すいません」

「別に謝らなくてもいいが…相談になら乗るぞ?」

「ははは、お気持ちだけ受け取っておきますよ」

左近は更に苦々しく笑って視線をグラウンドに向ける。
伏犠がその先を見ればそこにはある意味問題児として有名な石田三成と真田幸村と直江兼続がグダグダと走っている。

ああ、なるほど…と伏犠は唸った。
伏犠は左近が三成をお守りしているのを知っていた。
というより、知らない方が珍しい。
現に自分も太公望と孫悟空という問題児を抱えているから左近の気持ちは痛いほど分かる。

類は友を呼ぶ。
伏犠と左近はまさにそれかもしれない。
自分より年下で体も細いのに生意気でしかもそれに押し倒される時の情けなさよ。
 
「はああ、」

思い出してしまい、溜め息がとうとう伏犠の口からも漏れた。
そして伏犠と左近は目を合わすと無言でガッチリと堅い握手をしたのだった。
お互いなにも語らなかったが(口に出すのも嫌で)二人の間には攻めには決して分からない妙な友情が芽生えていた。



――――――――…



「なんだアイツらは…ガッチリ握手なんかしおって」

その頃、三成はノロノロ走りながらまさにその様子を見ていた。

「三成殿、捨てられちゃったんじゃないですか?ぷぷっ」

「なんと!義が足りぬぞ三成!」

その横で騒ぎ立てる三成の数少ない友人である幸村と兼続。
その友人達が並べる言葉に三成は眉の間の皺が増えるばかりだ。
幸村なんか、何故か満面の笑みで嬉しそうだ。

「ふん…左近にはあんなガチムチ似合わん。この俺が攻めてこその左近だと思わないか?そこで萌えが生まれるのだよ!」

「そんな事ないですよ。伏左は公式ですが、三左なんてマイナーです。三成殿は大人しく受けていればいいんですよ」

「そうだぞ三成!世の中、左三だ!」

「ええい、五月蠅い!!貴様らこそ受けが公式ではないか!!」

「違います!幸左は公式です!」
 
「むしろ幸村は総攻めが公式だろうな」

「流石兼続殿!分かっていらっしゃる!あ、三成殿は総受けですよね。ぷぷ」

「…今すぐ貴様らの前で左近を攻め倒したい気分だ」








下心丸見えですよ

(…なんか寒気がするんですけど)(花粉症か?左近)









 
 

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