短編集
□僕が幸せなとき SA
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のそのそ。
例えるなら、そんな感じ。
雅紀は俺が横になってるベッドに侵入してきた。
「翔ちゃん、翔ちゃん」
「なにー?」
俺は首だけ動かして、雅紀のほうを見る。
雅紀はご機嫌な顔だった。
そのまま、ぴったり俺の背中にくっついてくる。
「んふふ♪
暖かいなぁ、翔ちゃんは」
「雅紀だって、暖かいよ」
「えー?じゃあさ、ちゃんと確かめ合おうよ」
「もう一回ヤんの?」
「馬鹿っ//違うよっ!
そーじゃなくて……翔ちゃん、こっち向いてよ」
この声。
この甘い声に俺は弱い。
「甘えたくなったんだ?」
「うん……」
腕の中で抱きしめると、背中に手を廻してきた。
「翔ちゃん、大好き」
「俺も大好きだよ」
髪を撫でると、顔をあげた。
「あのね、昨日嬉しかったよ。
翔ちゃんと初めて一つになれて、ほんと嬉しいの」
赤くなって、困ったように笑う。
あぁ、愛しいってこういうことなんだな……
より強く、でも、壊れないように。
きみを抱きしめる。
「腰、痛くない?」
「ん……大丈夫だよ、えへへ……」
「どうしたんだよ?」
「俺、超幸せだなって思ったの」
馬鹿、俺のほうが幸せだよ。
「雅紀」
……寝ちゃったか。
ちょうどいいや。
直接言うのは恥ずかしい。
眠りに入ったきみの耳元に口を近づける。
「そばにいてくれてありがとう
俺を幸せにしてくれてありがとう」
本当に、すごく幸せなんだ。
ずっと愛しかったきみが、腕のなかにいるから。
僕が幸せなとき。
それは、きみのそばにいるとき。