短編集
□恋人ごっこ OA
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「んっ……んんぅっ//
あっ…りぃ……だぁっ//」
舌を割って口内を責めていく。
潤んでる瞳、
ほのかに染まった頬、
そして、漏れてくる甘い声、
全部が俺を興奮させる。
「ふぁっ……//」
そろそろ限界かな。
唇を離すと、銀色の糸が間に伝う。
それが切れたとき、下から声が聞こえた。
「〜〜っ……ふぇっ……」
あ…泣いちゃった……
「相葉ちゃ……」
「……っ、…うぅ〜っ…」
涙は一筋に流れていく。
構わず、舌で耳を堪能する。
だって、いまは“恋人ごっこ”中。
「やっ…!!…やだぁっ!」
嫌なら、暴れればいいのに。
でも、きっと優しいから、そんなことできないもんね?
馬鹿だなぁ、余計に襲いたくなっちゃう。
そのまま舌が滑り落ちて、首筋にたどりつく。
「うっ……嫌っ……ふぁっ//」
嫌なら止めればいいのに。
泣くぐらい嫌なら。
俺を離せばいいのに。
馬鹿だ、俺。
いまは“恋人ごっこ”なのに。
「りーだー……泣いてるの?」
泣く必要なんてないのに。
さっきまで襲われていたヤツを見上げる瞳は、汚いものを見る瞳とか、軽蔑の瞳じゃなくて。純粋に優しく映ってる。
どうして、そんな瞳で見れるんだよ?
俺は遊びという延長上で、
きみを……きみの身体だけでも奪おうとしたのに。
ごめん。
本当はね。
遊びなんかじゃなくて、
本気できみを振り向かせたかった。
でも、遅い。
「ごめんね……」
改めて相葉ちゃんを見る。
もう泣いてはいない。
「……本当にごっこだったの?」
俺は相葉ちゃんが言ったことに耳を疑った。
「りーだーは……
遊びであんなことできる人じゃないでしょ?」
俺の頬を両手で包み込む。
俺を惑わすのは、
いつもきみのほう。
「遊びの延長なんて嫌だよ
恋人ごっこなんかじゃ、嫌だよっ」
どうして気づかなかったんだろう。
「俺、りーだーは本気じゃないと思ってた。
でも、そうじゃないなら……」
その一言で、自然と身体が動いた。
情けないけど、涙を流したまま抱きしめる。
「大好きだよ、愛しているよ」
恋人ごっこじゃない。
「俺だけを見てよ」
「……うん」
遊びはもうお終い。
これからは、本気の付き合いでいかせてもらうよ。
恋人ごっこは、
もう二度とごめん。
だってさ、
本物の恋人になっちゃたんだから。