短編集

□内緒の関係 MA
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それは秘密の花園のようで。




ひとり、大きく手を振ってるのが見えた。

それは百点満点の笑顔で、
「松潤ー!」
って俺を呼ぶ。


相変わらず馬鹿だな、あいつ……


辿りつくと、メンバーみんなが
お疲れと声をかけてくれた。

そんななか、リーダーが、

「このあと飲みにいこうよ〜」
とふわりと笑う。


ん……?
ちょっと待て。
今日はさ……ちらりと相葉ちゃんに目を向けると、
口には出さず、ごめんと両手をあわせていた。




ははぁん……うまく嘘がつけなかったってわけね。

「いいよ、いくいく」

俺がそういったのを見て、
相葉ちゃんは少し困ったように笑った。

「じゃ、いきますか」

リーダーが相葉ちゃんの手を握ろうとするのを、俺は腕を掴んで止めた。


「ま、つ潤……?」



「ごめん、忘れ物しちゃったから、先いってて」


「うん……?
はやくこいよ」


翔くんは気づいてないみたいだった。
だけど、鋭いにのは気づいたみたいで、
「相葉さんもいくんですか?」と相葉ちゃんに聞く。


「俺はトイレに……」


「じゃあ、はやくきてくださいね」
TVでは見せないような優しい顔で微笑む。




それから、ふたりでしばらく黙って歩いてた。

沈黙を切ったのは、彼のほう。
「ごめんね、今日約束してたのに……」
申し訳なさそうに俯く。

「いいよ、別に

嘘をついても、ばれたんだろ?」

「えっ!?よくわかったね!??
さすが、松じゅ……」

人差し指で唇に触れる。

「いまふたりっきりなんだけど」


「……潤」
「上出来」



俺たちは付き合っている。
付き合いはじめたのは、ここ最近。



メンバーには、まだ言ってない。


「ねぇ、キスして?」

「誰にいってんの?」

「潤に決まってんじゃん……ねぇ、はやくー」


名前で呼んでんのも内緒。
こうやってキスをするのも、内緒。

だって、さっきのやりとり見たらわかるでしょ?

みんな、相葉ちゃんを狙ってんだもん。



だけど、俺のもの。
こっそりと独り占めする。

彼の心も、彼の身体も……

もちろん、この唇も……

「っ……ふっ……ぁ//」

全部俺のもの。


「あ……じゅ……」

名残惜しそうに見つめられた。
でも、いまはだめ。
あとで可愛がってあげるから。
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