09/02の日記
00:43
ということで、書いてみた。
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ついったーの診断で
ナルサスへの3つの恋のお題
「手遅れになる前に/今ここで抱きしめたい/どうしたら振り向いてくれる」
が出たから、3つまとめてみた・ω・(3本書く発想などはない)
下忍っぽくない下忍ナルトさんがひたすら語る…だけ(汗)
【そうさ未来は明るいのだから】
昔からムードに流されやすい人間だった。
東にちょっとカワイイと言われる女子がいれば「オレ、あの子のこと好きかも」なんて簡単に言えてしまう。
西にクラスのマドンナがいれば、何はなくとも持てはやし、お近づきになろうとした。
そんなオレが周りに流されずに長いこと好きな人だっているわけ。
この話をサスケにしたら、オレのケーハクさに呆れかえったのか、盛大なため息をくれた。お前の恋は大半が勘違いだぜ、とでも言いたげではあったが、何せ苦手分野には消極的になりがちなサスケ。結局口には出さず、飲み込んだようだった。
「つまりさ、何が言いたいかってゆーと、オレってば結構ムードに流されやすいけど、肝心カナメのトコでは正常な判断ができるっていう……」
「自慢?」
「じゃなくて、主張」
サスケはうさんくさげな反応を示してくる。オレがどうしてこんな『主張』をイキナリ始めるか、サスケにはまったくわかっていないみたいだから。
夕暮れのアカデミーで、OBが二人きりの教室で過ごしているなんて、なかなかにロマンティックだとは思うけれど。きっとロマンスの神様は、サスケの脳内にロマンティック回路を据え忘れたのだ。そうに違いない。
***
夕方のことだった。
イルカ先生を訪ねてアカデミーに寄り、久しぶりにいろいろと話をした
ついでにふと数ヶ月前まで通っていた校舎が懐かしくなり、細かい傷と砂埃ばかりの廊下を歩いてみた。窓からは眩しいほどに西日が差し込み、床を朱に染める。校舎にもグラウンドにも人気はなく、オレの足音がやたら響いて不気味だった。それでも懐かしさが勝り、結局オレは自分の教室に足を踏み入れていた。懐かしいと言っても、居眠りとイタズラと叱責の記憶しか残っていない。
教室は、感動的なくらいに変わり映えがなかった。カーテンの色も、花瓶の位置も、オレが通っていた頃と同じだ。椅子に座ってみたり、教壇に立って教室を見渡してみたりと、一人っきりなのをいいことにはしゃぎまわってみた。白チョークを片手に黒板の方を向き、『うずまきナルト参上』とでも書いてやろうかと悩んでもみた。
そんな時、教室の戸がガラリと開いた。
「サスケ?」
とっさに振り返ると、意外なことに、そこにいたのはサスケだった。目が合うと、とても嫌そうな顔をされた。
何を思ってサスケがアカデミーを訪ねてきたかは分からないが、案外オレみたく謎のセンチメンタルに流されてふらりと教室に立ち寄ってしまったのかもしれない。そう考えると、今すぐにここから立ち去りたそうなサスケを引き留めたくなる。
「あれぇ、サスケ。なんでアカデミーになんか来たわけ?」
「……それはこっちのセリフだ」
「オレはイルカ先生に会いに来たんだってばよ」
「へぇ……元気そうだったか?」
「変わりなかったってばよ。近頃第七班の任務がカンタンなのばっかって愚痴ったら怒られた。千里の道も一歩から、火影への道もDランク任務から、って」
サスケは教官室には寄っていないらしい。意外だった
万年ドベだったり九尾のことがあったりで、オレはイルカ先生以外の教師にはあんまりいい思い出が無い。だから下校時刻の過ぎた頃、イルカ先生だけが残っているであろうタイミングで教官室に寄った。だけどもサスケはオレとは違い、アカデミーを主席で卒業するような優等生。しかも有名な『うちは一族』だし。教官室に行ったって、後輩に顔を見せたって、きっと歓迎される。
そういえば、サスケには仲の良い先生はいたんだろうか。オレが知らないだけで、サスケにだって自分の夢を聞いてくれる先生はいたのかもしれない。「一族の復讐」なんて、夢と呼んでいいのか分からないけれど。
そもそも、サスケに仲の良い友達がいたかだってよくわからない。授業絡みならいざしらず、サスケがアカデミーで誰かと喋っているところなんて殆どみていない。下手したらオレにケンカを吹っ掛けられた時くらいだったかもしれない。
「……何ジロジロ見てるんだよ」
「いや、アカデミーとサスケって組み合わせだとさ、オレとケンカしているイメージしか湧かなくて」
「今とそんなに変わってねぇじゃねぇか。……思い出話ならしないぜ」
「思い出って言うほど遠い話でもねぇだろ」
夕暮れのアカデミーで卒業生二人が再会。いや、毎日顔を突き合わせてはいるのだから、遭遇?
とにかく、遇うはずのなかったオレとサスケが、こうして教室で顔を合わせているのだ。オレがトキメキのようなものを感じたって不思議じゃない。
***
それで冒頭の『主張』を聞かせてやったんだ。
聞かせてやるっていうか、自分に言い聞かせた。ムードに流されてとんでもないことを口走ってしまいそうだったから。そしたら手遅れだ。
サスケはオレのことをそういう対象で見ていないってハッキリわかるから、壊死しているサスケのロマンティック回路をオレは責められない。
意味の分からないことばかり言っているのはいつものこと、とでも思われたのか。サスケは返答に困り、わりと無難な問いかけを返してきた。
「そんなに昔の話がしたいのか?」
サスケの中では感傷的になったオレが、ついつい昔を懐かしむことを口走ったということになっているみたい。『好きな人』のことは流された。
「あんまり好きじゃないだろサスケ、昔の話するの」
そのくらいオレだって知っている。兄貴に一族皆殺しにされて、幸せだった過去なんてみんな失ってしまった。詳しくは知らないけど、兄貴との楽しい思い出だってあったんだろう。それに比べれば、オレがサスケと共有している思い出なんて大したこと無い。第七班になってからの日々は、未だ思い出にすらなっていない。
オレが寂しげにしているのを気遣ったのか、サスケは慰めるような言葉をかけてきた。
「復讐が終わったら……そしたら思い出話にも付き合ってやるよ」
オレよりもたくさんのものを持っているのに、サスケはただ、未来への希望だけは持っていない。復讐を終えた後の話なんて、一度もしたことがない。それ以降の人生をまったく切り捨てているようにしか思えない。
だから、思い出話に付き合ってくれるって言葉にも、現実味が感じられない。
言ってからサスケは照れたのか、くるりと後ろを向いて教室を去ろうとしている。
気づけば、とっさにサスケの背中へと抱きついていた。
体温が布越しに感じられる。うちはの家紋がプリントされた紺色の布地が邪魔に思えた。どうしようもないくらい、邪魔だ。
「……ムードに流されないで正常な判断が云々とか言ったばかりだろ」
「別に抱きつく雰囲気にはなっていなかったってばよ。オレは空気読まずに飛びついたから、セーフ」
馬鹿。いつもだったら殴ったり蹴ったりしてくるところでそんなに優しい反応見せるな。柄にもなく感傷的になってるのはお前のほうだってばよ。オレが感極まって抱きついたと決めつけるサスケに、すこし苛立つ。青春熱血物語なんて夢見ていない。もっと切実な気持ちで抱きしめているんだから、気づいて欲しい。
「約束だからな、絶対、思い出話するってばよ」
「あぁそうだな、アカデミーのこの教室でってのも悪くないな」
未来なんて見ていないくせに、軽々しく未来の話なんてするな。
嘘つきのばかやろうって叫ぶ代わりに、腕にこめる力を少し強める。
サスケは過去ばっかり、復讐ばっかり見詰めている。多分オレといっしょにいる未来なんて一度も夢見たことない。悔しい。
どうしたらサスケは振り向いてくれるのだろう。
分からないまま、ただオレはサスケの首筋に顔を埋める。
オレがちゃんと未来に向かって歩くから、引き摺ってでも連れて行くから。
だから、オレといっしょに生きるって約束してくれ。
end
お題に沿おうとした痕跡は見当たりますよねorz
下忍ナルト書くとなんか女々しくなる…(;´д`)
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