小説その1〜疾風〜
□別れ
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「そんな………嘘よね?」
「ごめんなさい、ヒナギクさん。
でも、どうしても行かなきゃダメなんです…」
その言葉を聞いて、ヒナギクはハヤテに抱きついた。
「嫌よ、そんなの嫌!
せっかく
恋人同士になれたのに!
私、ハヤテ君と離れたくない!」
(やっぱり、
好きになった人は私の前からいなくなってしまうんだ)
「ヒナギクさん…」
泣きながらしがみつくヒナギクを、ハヤテはゆっくりと遠ざけ、彼女の顔を見た。
「ヒナギクさん、
安心してください。
僕はいなくなったりなんかしません。
必ず戻って来ますから。
だから、信じて待っていてください。」
「グスッ…本当に?」
まだ目に涙を浮かべているヒナギクだが、ハヤテの目をしっかりと見て答えた。
「ええ、今まで僕が約束を破ったことがありましたか?」
そう言って
微笑むハヤテ。
「…うん、わかった。
…私、ずっと待ってるから!
必ず…戻って来てね?」
「約束しますよ…」