小説その1〜疾風〜
□彼女の春
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「はぁ…」
…ここは
白凰学院の時計台、
その最上階に位置する生徒会室である。
ため息の張本人である桂ヒナギクは頬杖をつき、どこか遠くを見ながら、
「はぁ…」
…本日10回目となるため息をついた。
「どうしたんだヒナ?」
そんな彼女を先ほどから見ていた美希が尋ねた。
「ん〜?いま何してるのかなぁって。」
「誰が?」
「そりゃもちろんハヤテ君…って、あれっ!?美希いたの!?」
「最初からいるじゃないか。大体、私はヒナに連れてこられたんだぞ?」
そうだった。
元はというとヒナギクは仕事を手伝わせるために彼女を強引に連れてきたのであった。
「そっそれはあなた達がいつも仕事をしないからで…」
「あーわかったわかった。…で、なんでハヤ太君のことを考えてたんだ?」
ボンッ!!
ヒナギクの顔が真っ赤になった。
「べっ別にいいじゃない//私が何を考えていようと…」
「そーかそーか、仕事も手につかない程ハヤ太君のことが気になるか。」
「うう〜//」
ヒナギクが何も言えずにいると、美希はチャンスとばかりに、
「おっと、もうこんな時間か。悪いがヒナ、私はこれから用事があるので帰らせてもらうぞ。じゃあな。」
「あっ
ちょっと美希!!待ちなさ『バタンッ』」
…ヒナギクの呼びかけもむなしく、美希は帰ってしまった。