青い鳥に花束を
□一輪目 さねかずら
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よく晴れている。まだ初夏のはずなのに、まだ朝なのに、
今日はやけに日差しが痛い。
「茉莉花!花に水やったの?」
「い、今やってる!」
空を見上げていた鷹緒茉莉花(たかおまりか)は、店の奥から聞こえる声で我に返って、慌てて作業に戻った。花の水遣りである。
「早く済ませちゃってよ?もうすぐ開店時間なんだから」
「分かってるよ、そんな事」
「何?全然終わってないじゃないの」
茉莉花によく似た淡い茶髪の女性が店の中から出てきた。
「分かってるって!もう、店の奥に行っててよ。ちゃんとやるから」
「そう?ならいいんだけど・・・」
そういって女性は店の中へと戻っていった。
「・・・・まったくもう・・・お母さんったら、すぐ疑うんだから・・・」
茉莉花は女性が去ると同時に茉莉花はしゃがみこみ、鉢植えの花を
指先でいじりだした。アイボリーホワイトのこじんまりとした花だ。
「茉ぁ莉ぃ花ぁ〜?」
先ほどの女性、都辻(つつじ)の声がすぐ後ろでした。
「お、お母さん・・・」
「サボってないで早くやりなさい!」
「はいぃ!」
茉莉花は真後ろで仁王立ちをしていた都辻の檄(げき)で慌てて作業に戻り、今度こそ最後まで終わらせたのだった。