図書館戦争

□アメのちカサ
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 「あんなに晴れてたのに・・・」
 郁は駅の改札口で空を見上げてから、うなだれた。
 天気予報では、確か一日中晴れだったはず。なのに、この土砂降りだ。
 すでに駅の売店からはビニール傘は消えていた。
近くにコンビニエンスストアもあったが、この分だと、
きっとそこからもビニールと言わず全ての傘は消え失せていることだろう。
 「・・・・・・しょうがない・・・・・」
 そう言って、郁が取り出したのは携帯電話。電話帳からとある電話番号を呼び出して、電話をかける。
5コール目に相手は出た。
 「あ、柴崎・・・・?」
 『他に誰がいるのよ?』
 下手にでた郁に対して、柴崎は不機嫌に応じた。
 「い、一応確認!」
 『ふーん。で?何の用?』
 「あ、あのね。今、雨降ってるんだ!」
 『あら、本当ね。それで?』
 柴崎がそっけなく答えた。郁は唾を飲み込む。
 落ち着け、あたし。
 「傘、持ってきてなくて・・・・出来れば迎えに・・・」
 『却下』
 「えぇ!?何で?」
 間髪いれずに言い放った柴崎に、郁は大声をあげた。
道行く人が何事かと振り向く。
 『何で?あたしにそれを聞くの?』
 電話の向こうで、柴崎が笑った。背筋を冷たいものが伝った。

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