小説
□プレゼント
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夕歩の部屋でテレビを見ながらごろごろしてたら急に思い浮かんだからとりあえず聞いてみた。
「そういえばもうすぐクリスマスだねー」
「どうしたの、急に」
「プレゼント何がいいかなーって」
「気が早くない?」
まぁまだ11月だし確かに気が早いかも。けど10mのもみの木とか言われたら準備に時間かかるしなー…。
「もみの木はいらないからね」
「夕歩ってエスパー?」
どうやら私の考えることくらいお見通しのようだ。そうなるとサプライズも無理かな。
「で、何かないの?欲しいもの」
「そんなこと言われてもすぐにはでてこないよ」
「じゃぁ思いついたら教えてよ」
「思いついたらね」
結局手袋とかマフラーになりそな流れだな、これ。夕歩には物欲ってもんが欠けてるよね。ま、時間はあるし思いつくのを待ちましょーか。
とゆーわけでソファでごろ寝しながら雑誌を読んで待つことにした。
「…ねえ、プレゼントって物じゃなくてもいいよね?」
「何でもいいよー。もう思いついたの?」
私は読んでた雑誌から顔をあげて夕歩を見た。その時視界に入った時計をみたけど10分しかたってなかった。
「じゃあずっと傍にいて」
「は?」
え?今なんて?『ずっと傍にいて』?いやいや姫に限ってそんにゃ…やば、噛んじゃった。ほら、夕歩が変なこと言うから独り言で噛んじゃったよ。それに聞き間違いだよきっと。もう一回だもう一回。
「…えーと、何だって?」
「ずっと傍にいて。どんな時も私の傍を離れないで」
イエス、ユアハイネs…じゃない!そりゃ私だってずっと傍にいたいけど!本望だけど!だけど…!
「…約束して。それがプレゼント」
「…夕歩」
ソファに座ってる私から見たら顔が赤くて上目遣いという最強コンボの夕歩がみえるわけですよ。つまりこれはもう抱きしめていいよね?キスしていいよね?ベッドもオッケー?
「じゅん…しゅき」
「わ、私もだよ…!って、『しゅき』?」
カランって音が夕歩が動いたら聞こえた。もうあのオチしかないね…。夕歩の足元を見るとチューハイの缶が1つ。あぁ、やっぱりな、って思ったよ。だって夕歩がね、言うわけないもん。
「夕歩?あのさ、今日一緒に寝ない?」
「うん、いいよ」
もう確定だ。言っとくけど私は飲ましてないよ。夕歩の部屋行くとき綾那がこれもってけってお菓子とジュースくれたけど、私は袋の中に酒が入ってるなんて知らなかったし。けど見てわかるのになんで飲んだんだろ?
「そういやさ、なんであれ飲んだの?お酒だってわかってたよね?」
「ゆかりがねー、いっそお酒の勢いに任せたらってじょげぇんしてくれた」
言えてない。言えてないよ夕歩。助言って言いたかったんだよね?つかなに言っちゃってくれてんの染谷は!?
「で、じゅん…プレゼントは?」
「え?あ、プレゼントね…。何だっけ?」
「ずっとわたしのそばにいることを、やくそくして」
ほとんど呂律まわってないよ、夕歩。今のは聞こえたけどそろそろなに言ってもわかんなくなりそう。
「…じゅーんー」
…ま、いっか。可愛いし。
「姫の仰せのままに」
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