小説
□ヘタレオブ・ザ・イヤー
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ここは夕歩のいる病院。ってか既に病室にいるんだけど…何この状況。
夕歩の好きなお菓子と頼まれた本を買って、よし行くか!と思ったのはいつも通り。
病院にもかかわらず騒がしく病室に入ったのもいつも通りなんだけど、夕歩がね…何か色っぽいんですよ。
いやいやマズイよこれは。服がはだけていらっしゃる!目もうるんでて一体何をされt…じゃない!体冷やすと風邪ひくし何より目のやり場に困るよ!
「…順?」
「うぇ!?な、何…?」
「ボーっとしてたから。大丈夫?」
「平気平気!今日も順ちゃんの色欲はぜっこーちょーでっす!」
「そんなこと聞いてないし、全然大丈夫じゃないよね」
なるべく普通の会話をしようと思ったけど、色欲とか普通の会話にはないよね?
どうしよう…夕歩の視線が痛いよ。
「あ〜…そだ。お菓子と本買ってきたよ」
取り敢えず買ってきたものを渡そうと側にあった椅子に座り、袋をあさる。
「ありがとう」
そう言って夕歩は受け取るために少し体を動かした。
そしてタイミングが悪いことに私が視線を夕歩に移した瞬間ナイスチラリズム。鎖骨さん、こんにちわ。
ダッ!ガラッ!スパン!
走って病室から出るまで約2秒。星奪りの時より速かったと思うよ。
そのまま壁に背中を預けて心臓がおさまるのを待ってみた。