小説

□本日は雨日よりなり
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「ふぁ〜ぁ…。」



少し噛み締めながら出てしまった。
それを見た片倉先生は動いていた手を止めて小さくため息を吐いた。



「はぁ……真田、昨日は寝るのが遅かったか?
…それともそんなに俺の授業はつまらないか?」

「!す、すみませぬ片倉先生!!」



あわてて席から立ち上がり深々と頭を下げる。

そんな幸村を見て先程の仏頂面に変わって優しい笑顔に変わる。



「謝れとは言ってない。
今度から気を付ければいいんだ………それより、伊達ぇ!!
堂々と早弁しているんじゃねぇ!!!」

「Haー…今度から気を付けるぜ。小十郎。」

「学校では先生だ!!それにいつも早弁をしているだろう

「だって小十郎の作る弁当美味しいんだもん。」

「政宗…………………って、その台詞聞き飽きたわーーーー!!」



2人のやり取りは非常に面白い。
静かだった教室が一気に笑い声に満ちた。

そんな時、幸村の携帯が震えだす。



「(!こんな時に誰でござろう…?)」



片倉に気付かれないようにこっそりとメールを確認する。



『授業中にごめん、今日生徒会があって遅くなると思うから先に帰ってて。 佐助』

「…………。」



幸村はパタンと携帯を閉じて教室の窓から空を見上げた。



「…………雨が、降りそうでごさる……。」




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