Another World

□装甲兵
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装甲兵





鮮やかな視界がモノクロに

輝く未来が爛れた道に

善い行いが悪行に

少しずつ削り取って 崩れ落ちていく



別人のように作りかえられて

夜色の低重音(ベース)を響かせて

自分の中に籠もっていくのは自分



いつからこんなに仄暗い骸(から)の中に閉じこもっているんだろう

影のあるものに魅(ひ)かれて

引きずり込まれていった 際限もなく



立ち上がろうと持ち上げた頭を

無理やり押し返した

出たい 出たくない矛盾で体は騒(ざわ)めく

いつまでも 閉じ込めておきたい



嗚呼 救われますように

この意識の淵から

この闇の中から



蝋燭の灯がゆらゆらと誘うままに

ぼやけた世界が回り続ける

混沌以外の何物でもない



決して闇を失いたくない

痛みを受けるようなフリをして

本心はずっとそう願っているんだ

いつまでも閉じ込めておきたい





→あとがき
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