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□SweeeeetBoy
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ザアアアアァァァァァァァ・・・



何日ぶりかのシャワーの音。

さすがの風呂嫌いの俺でも、懐かしく感じる。



「あー、何で俺野郎のところに行く前にシャワーなんか浴びてんだろ」


別に女の子の元へセックスしに行くわけでもあるまいし。


しかし、
イヴァンと話ができないというのも大問題。

俺がシャワー浴びたくらいで話ができるってんなら、
シャワーくらい何度でも浴びてやる。


もしイヴァンと何か問題を起こして、脱獄が失敗なんかしてしまって日には、
俺は地獄ライフのはじまりはじまりだ。




キュッ




俺はシャワーを止めて、
バスタオルを腰に巻く。

ふと脱衣所の鏡を見ると、棚の上に置いてある香水が目に留まった。

ルキーノが「紳士の嗜みだ」とか言って渡してきたものだ。


ったく、
どこの紳士が刑務所でボーダーシャツを着て歩いてるんだか。


だいたいどうやって香水なんか持ち込んだんだよ。
人のことを言えたこっちゃないが、ルキーノの奴いつでもどこでも自由だな。


まぁ、いいか。と思って
俺はその香水を首元と手首に吹き付ける。


「うっわ、甘い匂い」


紳士ってこんな甘ったるい匂いをさせておくものなのか?

俺は紳士じゃないから分からない。




いつものボーダー服に着替えて廊下を歩いていると、
ジュリオに会った。



「あ・・ジャン・・・さん・・・」


「よう、ジュリオ
お前も風呂か?」


「はい、・・・ジャンさん・・・何か甘い匂いがする・・・」


さすが狂犬。
犬と言われるだけあって鼻がいいのか。

単に香水が強いのか。


「分かるか?ルキーノに嗜みだって言われて付けてみたんだけど」

「そう・・・ですか」

「今からイヴァンと話に行くんだが、臭いのが原因でコミュニケーション不足になったらシャレにならないからなー」


「え・・・そのままイヴァンのところへ?」


ジュリオは珍しく驚いたような顔をする。


「そうだけど?どうかしたのか?」

「い、いえ・・・お気をつけて」


ジュリオの反応が気になったが、施錠時間まで後2時間しかない。
俺はなるべく目立たないように、それでも足早にイヴァンの房(つっても俺の房の目の前だが)を目指した。
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