Bleach

□Carum
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ガンッ



乱暴に扉が開く音がする。
もちろんそれは、ひどくイラだった一護によるものだった。



「おぅ、一護!今日は早いな!」


一護のイライラも気にせず、
紅い髪の客人は一護に気づいて立ち上がる。



「てめぇ、恋次。何度言ったら分かる、ここは健康体が毎日通う場所じゃねぇんだよ!
さっさと帰れ!」


怒鳴る一護。
笑う恋次。

恋次は一護の元に寄ると、
殴られる前に一護をぎゅっと抱きしめる。


「……俺はお前の女じゃねぇ」


周りにいた女性隊員は、恋次の行動にキャーと声をあげていたが、
当の一護は毎日のことなのでもう慣れっこだ。


「いいじゃねぇか別に。お前の顔が見たいんだよ」


恋次はそう耳元で囁くと、
一護の頬にキスをする。

これにも女性隊員は何故か黄色い声をあげた。



「……恋次」


何かがブチッと切れるような音。


「ん?」



一護は恋次の背中に手を回し、同じようにぎゅっと抱きしめた。


「?…一護?」


そして、そのまま、

勢いよく仰け反って恋次の頭部を床に叩きつける。


うっわ痛そう、とそこに居合わせた誰もが思った。



パンパンと手をはらって、
頭をかかえ悶える恋次を一護は思い切り踏みつける。



「健康体はお呼びじゃねぇんだよ」


「…お前がけが人出してんじゃねぇかよ…」


「良かったな。偶然にもここは救護詰め所だぜ?」


「……鬼」


「これでも白衣の天使だ」




一護は恋次をゴロンと蹴飛ばし、
外に転がす。

体勢を立て直した恋次は、再び一護の頬にキスをすると
また頭部粉砕される前に帰っていった。




ふと空を見上げればもう夕暮れ。



一護は眼鏡をはずし、まぶしそうに沈んでいく太陽を見つめた。
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