Bleach

□寝れない死神
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今日から、一護の部屋に住むことになった。


虚退治のために長期現世に留まらなきゃならなくなった俺は、
義骸に入り、浦原さんのところか、一護のところに泊まることを余儀なくされ、
浦原さんのところは餓鬼どもがうるせぇし、
なんか居心地が悪ぃから一護の方に泊まることになった。


さすがに図体のでかい俺が、以前のルキアみてぇに押入れに入るわけにもいかないので、
親父さんたちを騙くらかして、
身寄りのない一護の同級生ということで話がついたらしく、
一護の部屋に客用の布団を敷いてもらう。


布団を敷く場所は、一護のベッドのすぐ隣。





これ、一護が一歩間違えれば恋次は踏み潰されるはめになる。



パチンッと部屋の電気が消され、
室内が闇に埋もれる。



「俺、明日は普通に学校なんだから、起こすんじゃねぇぞ恋次」


「へぇへぇ、分かってるよ。
てめぇこそ、寝ぼけて俺を踏むなよ」


「……起こしたら踏む」


「意図的にかよオイ」


「いいから早く寝ろよ」


一護がベッドにもぐりこむ音が聞こえる。

俺は、慣れない布団にくるまって、
闇色の天井を見上げる。


自分の手をかざしてみると、
だんだん目が慣れてきて、窓から入る月明かりのせいもあってか
視界がはっきりしてきた。


どうやら寝静まった一護の背中を、
じっと眺めてみるが身動き一つしない。


「つまらねぇな…」


もともと、死神にはそれほど睡眠は必要ない。
義骸に入っているとはいえ、
元は霊体なのだから、食事や睡眠などは要らないのだ。


俺にとって寝ることは、ただ瞼を閉じて眼球がずっと瞼の裏を見ているという行為にすぎない。

尸魂界であれば、
こんな夜中でも相手をしてくれる死神の一人や二人はザラにいるのだが、
今現世で頼れるのはここにいる一護くらいで。



一護の背中を暇つぶしにつついてみる。
踏まれるのは御免だが、踏まれる前に避ければいいのだ。
結構強めにつついているのだが、熟睡しているのか、一護は重い瞼を上げようとはしない。



「……ちっ」


俺は一護を起こすのを諦め、ゴロリと寝返りをうって部屋の反対側を見る。
壁に掛けてある制服、
一護の勉強机、
何の変哲もないドア。


眺めていたって何かおもしろいことが起こるわけでもない。
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