Bleach

□Heat
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「…やっ、あ…はぁっ……んっ」



深夜の誰一人出歩いていない倉庫街。
周りに何者も寄せ付けぬ一つの大きく古びた倉庫。
倉庫を抱え込むように守り包んでいる強い結界。


その場所で、
整えられた筋肉を流動させ、妖しく濡れ喘いでいる男が一人。


彼は乱された黒い着物を身に纏い、
強気な瞳を欲望で潤ませている。



「も、う…やめろ……っ!」


彼の首筋を、まるで噛み殺すかのようにかぶりつくもう一人の影。


彼の首に紅い華が咲く。
白い肌によく映える紅い紅い所有印。

もう彼の身体のいくつもの場所につけられた男の印。



男の腰がずぐりと進む。




「!…んぁああっ」



彼は襲い来る痛みに思わず嬌声をあげる。


男は構わず腰をゆらす。
もう止められない、と言わんばかりに。



彼は苦痛にもがき、苦しみ、頬に雫を流して男の名を呼ぶ。





「……ひら、こ……」












「平子!!!」

「うぉわっ!!」



倉庫の片隅で横になって眠っていた平子は、一護の呼び声で勢いよく目を覚ます。


本日、日差しが心地よい秋晴れの修行日和。
一護も調子が良いようで早く修行をつけてくれと惰眠を貪る平子を叩き起こしにきたのだ。


「あー…いたた、もうちょっと優しく起こせや一護」


そういって見上げる一護の両手には、先ほどまで平子がかぶっていたであろう布団が。
おそらくひっぺがされた模様。



「てめぇがいつまでも寝てるからだろうが」

「はいはい、オカンかお前は」


平子は美しくなびく金色の髪をボリボリとかきながら、
その細い体を起こす。



「お前、何か夢でもみてたのか?」

「…なんでや?」

「ん、なんとなく。お前うなされてるみたいだったし」


「……夢…」


さっきまで見ていた暗い倉庫の中を思い出した。

平子は一護の身体を、頭の先から足のつま先までじっくりと凝視する。


「な、なんだよ…?」

「…いや、何でもあらへん」

「?」



昨夜見たのはこの倉庫の中の夢。
必死に止めろと訴える一護と、その一護を無理矢理に抱く自分。


とんでもない淫夢だった。



(溜まってるんやろか…)





よりにもよってこんなに側にいる人間と、

それも男と寝る夢なんて。
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