Bleach

□スウィートナイト
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「なぁ、恋次」

「何だ?」

「・・・」

「何だよ」


「・・・狭い」







                スウィートナイト








その日も予告なく、恋次は俺の部屋の窓へやってきた。


恋次は虚退治で現世に来ることがあると、必ずと言っていいほど俺に会いにくる。

何の理由があるのかは知らないが、
いつも会うことのできない恋次たちがうちにやって来てくれることは、ほんの少しだけ嬉しかったりする。

だが、

嬉しいのはほんの少しだけ。
後の大半は、まぁ『迷惑』ということである。


会いにきてくれるのはいい。
ただ、どうしてもタイミングというものがある。
テスト前夜とか。・・・テスト前夜とかテスト前夜とか。




今日はその、テスト前夜である。




お願いだから勉強の邪魔だけはするなと言って、黙ってくれたのはいいものの、
さぁ寝ようかという時になって恋次は『添い寝』を要求してきた。


男の俺と一緒に寝て何が楽しいのか知らないが、
そんな恥ずかしいこと御免だと断ろうとすると、無理矢理俺のベッドの中へ入ってきた。




そして、現在に至る。





シングルベッドに俺一人ならまだしも、
図体のでかい男が二人も並んで寝るのはせまっくるしい。

まして恋次は俺よりもでかいのだ。


快眠の邪魔以外の何者でもない。





顔を見合わせて寝るなんて、想像しただけでも寒気がしたので
お互い背を合わせて目を閉じた。

背中から、恋次の体温が伝わる。


誰かと一緒に寝るだなんて幼い頃家族と共に寝て以来なので、
隣にいる体温がやけに心地よい。




(最近、ゆっくり寝れてなかったからな・・・)




テストが間近に迫ってきても、
虚がこちらの都合に合わせてくれる筈もないので、死神業と勉強でとても疲れていた。




俺は恋次が寝息をたてているのを耳で確認して、
ゴロリと寝返りをうつ。

視界に恋次の大きな背中がうつる。

テスト前夜に押しかけられて、それはそれは迷惑な話だったが
こうやって一緒に眠っていると自然と安らいだ。
それは人肌が恋しかったからなのか、恋次が傍にいてくれたからなのかは分からない。

自分の心を暖めてくれる恋次にすごく感謝した。



スリと恋次の背中に額をあてる。

暖かい・・・



鼻先をかすめる体温。
闇の中でも分かる真っ赤な髪。
大きな背中。



恋次だってこれでも副隊長だ。
暇な時間なんてありはしないだろうに。

恋次が今日ここに来た理由は知らない。聞かない。

ただ、




(ありがとう・・・)






言葉には出せないけど。







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