Bleach
□月夜の光
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「・・・隊長!黒崎隊長!」
午前二時、十三番隊執務室。
机の端に大量の書類を積み上げ、顔面をつっぷして寝ているオレンジの頭があった。
右手には筆、左手には判を持ったまま器用に寝息をたてている。
いいかげん放置されたままの筆からは今にも墨が垂れそうで。
偶然十三番隊の隊舎を訪れていた斑目一角は、執務室のそんな一護を見つけて声をかけてやった。
「・・・! おわっ!」
案の定、勢い良く起きた一護の右手の筆からは墨が垂れる。
もう少しのところで大事な書類に墨が落ちるところであった。
「こんな時間まで仕事やってたんスね 隊長」
「・・・まぁな 最近仕事がどんどん回ってきて大変なんだよ」
「少し休んだらどうですか?」
「うーん・・・」
「その書類が終わったらコレで一杯やりましょうよ」
そう言って一角は腰紐にぶら下げていた上物の酒を持ち上げた。
夜中に他隊舎をウロウロしていた一角は、すでにどこかで酒を煽った後らしかったが
酒の強い一角にはなんら問題ない。
一護も一護で、最近多忙さ故にアルコールを摂取していなかったため、一角の申し出に同意した。
今日は綺麗な満月だ。
二人は一護が書類を終わらせたあと、
しっぽり月見酒と決め込んで、瓦の敷いてある隊舎の屋根へとのぼって月を眺める。
少しずつ火照っていく体に、ひんやりとした夜風が心地よい。
満月には薄く雲がかかっていて、それが月の光を柔らかくしている。