Bleach

□月夜の光
1ページ/6ページ

「・・・隊長!黒崎隊長!」






午前二時、十三番隊執務室。

机の端に大量の書類を積み上げ、顔面をつっぷして寝ているオレンジの頭があった。
右手には筆、左手には判を持ったまま器用に寝息をたてている。
いいかげん放置されたままの筆からは今にも墨が垂れそうで。


偶然十三番隊の隊舎を訪れていた斑目一角は、執務室のそんな一護を見つけて声をかけてやった。



「・・・! おわっ!」



案の定、勢い良く起きた一護の右手の筆からは墨が垂れる。
もう少しのところで大事な書類に墨が落ちるところであった。




「こんな時間まで仕事やってたんスね 隊長」

「・・・まぁな 最近仕事がどんどん回ってきて大変なんだよ」

「少し休んだらどうですか?」

「うーん・・・」

「その書類が終わったらコレで一杯やりましょうよ」



そう言って一角は腰紐にぶら下げていた上物の酒を持ち上げた。

夜中に他隊舎をウロウロしていた一角は、すでにどこかで酒を煽った後らしかったが
酒の強い一角にはなんら問題ない。

一護も一護で、最近多忙さ故にアルコールを摂取していなかったため、一角の申し出に同意した。



今日は綺麗な満月だ。




二人は一護が書類を終わらせたあと、
しっぽり月見酒と決め込んで、瓦の敷いてある隊舎の屋根へとのぼって月を眺める。

少しずつ火照っていく体に、ひんやりとした夜風が心地よい。
満月には薄く雲がかかっていて、それが月の光を柔らかくしている。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ