僕らの夢見る明日の為に
□僕らの夢見る明日の為に 5話
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「退屈〜」
今日はディストもアッシュもいなかった。
おかげでやる事のない俺は、こっそり外へと出ている。
(今更、ヴァン師匠の顔色なんか伺えるわけないし)
知っていても、きっと黙認状態だな。
以前、ほんの少しだけ邂逅した、ヴァン師匠の顔を思い出す。
ルークの時と違って、あからさまに見下すような視線をくれた。
けれど、俺がたどたどしく(演技しろと言われた)、話したり歩いたりしたので。
僅かに驚嘆した感じが伝わって。
生まれて僅か(実際は違うけど)なのに結構な成長速度を見せた俺に、不審な顔をしたものの。
「この私が教育しているのですよ。これくらい当然の事でしょう」
何を思ったのか、ディストがそう言ってくれたので。
結局追求は取りやめたらしい。
尤も、人形がどうしようが、くらいは思っていたのかもしれない。
実際、アッシュにはそう言ったみたいだし。
(アッシュが便利通信網で教えてくれた。盛大な悪口付きで)
あの人が俺をどう思っていたのか、なんて。
今更だよなぁ、そう思えるだけ俺も成長したのか。
ともかく、俺が表に出るのは少なくとも導師イオンの前に出してもいいくらいの礼儀作法を覚えてから、だとか。
なので、当分は訓練と勉強(これが一番嫌だ)のみ、後はディストのお小言付きで譜業の手伝いする位か。
これが結構面白くて、ガイが音機関マニアになるのも頷ける気はした。
あそこまでだと、流石の俺でも引くけれど。
被験者イオンには俺は会った事ないので、何度か会ったらしいアッシュに聞いてみたのだけど。
返って来たのは何とも言えない空気と。
「アレがあの導師のオリジナルなんて、信じられん」
と言う回答だったので、余計に気になる。
そんなに、被験者イオンと俺のイオンは違うんだろうか。