短編

□初恋は実らないっていうでしょ?
1ページ/2ページ

※ロイエド←ウィンですので苦手な方はバックでお願いします。






「ねぇエド」
「あー?」
「あんた、綺麗になったね」
「ぶっ」
「うわ、汚っ、飛ばすな!」


 イーストシティで待ち合わせて、久々にエドとアルに会った。二人とも相変わらずで、何もしてあげられない自分に泣きたくなった。
 アルは用があるとかで、エドと二人、アルを待ちながら喫茶店の屋外テラスでお茶をすることにした。湯気の立つ紅茶を注意しながら飲むエドをなんとはなしに観察して思ったままを口にしたら動揺された。


「普通男に言う言葉じゃないだろ!賛美するのはいいけどせめて格好良いとかさぁ」
「格好良いだなんて微塵にも思わないわこんな豆」
「誰が豆粒ドちびだ!!」


 嘘だけどね。


「格好良いの代名詞はマスタング大佐みたいな人のこと言うのよ」


 誉めるのはなんか恥ずかしいから思いついた人物の名前を挙げてみると先程より動揺された。しかも信じられないといった表情だ。


「おおおおま、大佐のこと……!?アイツは止めとけ、とんでもねーやつだ」
「ああ、それはないわ。あくまで一般論よ。だってあの人モテるでしょ」
「……あ、そ」


 弁解してみたらエドはあからさまに安堵した。おもしろくない。


「気にしないで、目の錯覚だったみたいだから」
「それはそれでムカつく……」


 目の錯覚ですって?嘘よ。
 エドはあたしが見ていない間に綺麗になった。絶対。変わってしまった彼がとても寂しい。そうね、彼が変わった理由が理由だしね。

 女の勘って結構馬鹿にできないものだ。今のエドを表わすなら、


「恋する乙女」
「は?ウィンリィ、お前さっきからなに言ってんの」
「べっつに」


 男なのに乙女だって。笑っちゃうわ。でもエドは恋をしたから綺麗になってる。恋をするのに男女は関係ないから別にいっか。

 でもなぁ。
 あたし、エドのこと好きなんだけどなぁ……。


「エド、ケーキ追加していい?」
「やっぱオレの奢りか……へーへー、どうぞ好きなだけ食え」
「やったぁ」


 好きだから気付いちゃったんだもん。どうしてエドがあの人を選んだのかは知らないけど、しょうがないのかな。
 今のエドがあるのも全部、悔しいけどあの人のお陰なんだもん。どうしてあたしじゃ駄目だったんだろう。


「エド大好きよ」
「あーはいはい。ったく、食いもん前にして調子いいこと言いやがって」
「あははは!なによぉ、そんなこと言うなら食べる?ハイ、あーん」
「食わねーよ、う、やめっ」
「あーん」


 タイミングって重要だわ。本当のこと言ったのにまるで信じてない。今は真剣にとられても困るけど、寂しいな。
 紛らわすようにおいしそうなケーキをフォークで一切れとってエドに差し出すと、少し逃げられたけど強引に突き付けた。押し切られて渋々とエドはケーキを口に入れ咀嚼すると少し顔を綻ばせた。


「おいし?」
「ん、うまい」
「もっと食べる?」
「お前のだからお前が食えよ」


 これって間接なんちゃらだなぁと思ったけど、幼なじみだからってエドは気にしてないみたいだ。つまり、自分は彼の中でそういった感情の対象外ってこと。わかってたわよ。


「あ、おいしい!」
「よかったな」


 おいしいデザートと大好きな人の笑顔。こういうのってデートっていうんだよね。少しの間だけでも、恋人同士みたいかな。


「あー、アルおせーなぁ…………あ?」
「あ、あれって……」
「げー」


 細やかな願いは叶わないみたい。もうカップルごっこは終わり。


「うげぇ」
「なんだね鋼の、その態度は」
「サボり中の大佐なんかと一緒にいたら中尉の鉛弾飛んでくるから傍にいないでくれませんかね」
「やぁ、ロックベル嬢。こんにちは」
「こんにちはマスタング大佐」
「無視かよ!」
「そんなに構ってほしいのかい?やれやれ、困ったものだな」
「誰がだっ」


 青い軍服に身を包んだ人はにこやかに近づいてきた。周りに大人の男の人がいなかったから少し珍しいと思った。けどエドと話すこの人はひどく幼く見えた。
 反発するエドはエドで子供だし。


「残念ながらサボりではないよ。発砲の心配はない」
「ちっ」
「お仕事ですか?」
「まあ、そんなところだ。ああ、邪魔してしまったかな」
「お前の存在が邪魔だ」
「エド!そんなことないですよっ」


 建前、ね。あはは。


「デート中失礼した。では私はこれで」
「え……」
「はあ?何言ってんだ、オレらはアルを待ってんだよ」
「おや、違ったのかね。とても仲睦まじ気だったもので、てっきり」


 ぽけっ、と。二人して同じ顔してる。やばい、なんか、顔、熱、い。


「な、なんでこんな豆粒!」
「んだとこらウィンリィ!こっちだってこんな機械オタクごめんだ!」
「なによ錬金オタク!あたしよりちっさいくせに!」
「ちっ……!?これからでかくなるんだ!今年3センチ伸びた!」
「それっぽっち!?あたし4センチ伸びたわよっ」
「あんま変わんねーじゃねぇか!」
「変わるわよっ!あたし、自分より背の低い男は嫌なのっ」
「だぁぁぁぁ!!」
「……少し落ち着きたまえ君たち」


 エドに先に弁解されるのが嫌で勢いで口を開けば売り言葉。エドは見事に買ってくれた。昔からの勢いで結構ヒートアップしてると大佐の言葉で中断して、二人して肩で息をしている。


「君たちはとにかく仲が良いのはわかった。だが鋼の、女性には優しく接するものだよ」
「ウィンリィを女扱い?今更過ぎてできねーよそんなん。オレたちはこんなもんなんですー」


 やっぱそっか。エドはあたしのこと幼なじみとしか見てくれてないんだね。幼なじみって、特別だけど、嬉しいけど、今は、切ないかな。


「なんですって!?もーエドなんか知らないっ!アルとデートするからいいもんっ」


 何だかとても泣きたくて、でも泣くわけにはいかなくて。
 人込みの中に頭一つ以上飛び出てる鎧を見つけて猛ダッシュした。


「ウィンリィ!?」
「あれ、大佐……って、ウィンリィ!?え、うわぁ!?」
「いこっアル!」
「行こうって、兄さんは?」
「知らないわよ、あんな豆粒チビチビチビチビなんてっ」
「チビじゃねぇ!!連呼すんなぁぁぁぁ!!」


 エドの声を無視してアルに飛び付くとぐいぐい引っ張って人通りの多いところに進んでいく。ムカつくからエド的禁句を大声で言ってやったら怒った声が聞こえた。

 もしかしたら顔を見られたのかもしれなくて、エドは追ってこなかった。それとも、あの人と一緒だから?


「ウィンリィ……?」
「アル、デートといったらショッピングよ!さあ行くわよ工具屋さん!!」
「普通のデートは工具屋には行かないんじゃないかなぁ」
「ずべこべ言わない!あー!しまった、スポンサーがいないのはまずかったなぁ」
「それ兄さんのこと?」
「もちろんよ、あいつ金持ちだし。まあいいわ、折角アルと二人なんだしね」
「どうせ僕荷物持ちでしょ?」
「あははははは!」


 初恋は実らないっていうでしょ?










END

う、うへへへ(・v・;)
やっちまったい!
ウィンリィ視点だなんて五年ぶりぃぃぃぃ(・∀・)/
しかも当時はえどうぃんだったというミラクル!
NLなんか久しぶりなんだよ!!
笑っちまうさぁぁぁ
これ、ろいえど前提だからね!?
えどわどは大佐が好き!!大佐もエドが好き!

というわけで補足みたいになっちゃったけどろいえど行ってみよー\(^O^)/




次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ