短編

□イブ
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「イブは好きな人と過ごすものだよ」

とかなんとか云って、宿に押し入ってそのまま拉致。
なんなんだこの無能は……。
拉致られた先は大佐の家だった。

「……強引じゃねーか?」
「せっかく君が同じ街にいるんだ、多少強引にもなるさ」
「……ゆーかいはん」

しかも何故か大佐の腕の中でソファーに座ってる。
背中から規則的な大佐の心臓の音を感じて、肩からは吐息を感じる。普段感じられない温もりがこそばゆい。

「なんで抱き締めてんの」
「寒いじゃないか。それに…」

寒いなら暖炉に火を点けろ。お得意の発火布ですぐじゃねーかよ。
俺は湯たんぽじゃない。

「君がどこかに行ってしまうんじゃないかって」

その声音が苦しそうで、ドキリとした。

「どこかってどこさ。俺は神なんか信じてないんだから、罪が重すぎて逃避するなんてしない。俺は背負っていくんだ、逃げない」

聖夜に相応しくないとつくづく思う。
機械鎧が冷たい。

「そうだな……」

フッと大佐が笑った気配がした。

「寒いからやはり暖をとらなくてはな。ちょっとまってなさい、暖炉を点けて何か暖かいものでも……」

俺の前に回してた腕を解いて離れていきそうになるのを引き止める。

「鋼の……?」
「いらない。大佐がいればいい」

ちょっと素直になってみる。

「ああ……」


二人で笑ってあったかけりゃ、それでいい。





雪がちらつき始めた、クリスマスイブ。





END















何故か年越し話の後にイブ話。笑
なんか時間がなかったんでアホな文になりましたな……汗


めりーくりすます。




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